大田区で人件費率21.5%の保育所という実態!子どもの最善の利益を求め・・・「保育所の安全運営と質の向上を!」

2018.11.27

待機児解消のため保育所増設に大田区も取り組んでいますが、一方で保育士の処遇、質の確保など課題があります。大田区では区立保育所を民間委託してきましたが、その検証が行われていません。更に、認可外保育施設の改善は急務です。その課題について決算委員会で質問しました。

●保育所の実地検査のため職員の増員を!
都道府県は認可保育所の安全運営のため実地検査を義務づけられているが、2015年子ども・子育て支援法により、各市区町村も認可保育所の指導検査を実施できるようになりました。
2016年度、大田区は認可保育所88施設のうち17施設で実地検査。2017年度は、認可保育所103施設のうち31施設を検査しましたが、全園で実施するためには今の職員体制では限界があり、職員の増員を求めました。

●子どもの命を守るために
2016年3月に大田区認可外保育施設でおきた死亡事故を受け、今年3月東京都は重大事故の再発防止のため33ページに及ぶ「事後的検証委員会報告書」を公表しました。
私は2016年2月26日の一般質問でこの認可外保育所を取り上げました。都の指導監査の指摘事項が何年も改善されず、このままでは子どもの安全は守られないと考え、せめて抜き打ち検査の実施などできないか質問した。答弁では「立入調査に区の職員も同行し、その実態把握に努めている。」とのこと。再質問したが同様の答弁内容でした。
翌月、3月16日、この施設で深夜に生後六ヶ月の子どもが死亡しました。保育士資格のない園長が夜間一人でゼロ歳2名、2歳1名、3歳2名の5名を保育し、ゼロ歳児の呼吸チェックは、夜間30分から60分程度とのことでした。

東京都はこの施設に2002年度から継続して立入調査を行い、改善指導に従わないため、前通告をしない立入調査も実施したそうです。「常時複数の保育従事職員が配置されていない」「乳幼児突然死症候群の予防への配慮が行われていない。」など多数の指摘事項が改善されないままでした。

都内には2016年3月で959施設、今年度9月886も認可外保育施設がありますが、立入調査は、指導が改善されないなど課題がある施設を対象とすることが多い。
報告書では再発防止のため12項目の提言が示され、都に対する提言は勿論だが、区市町村と連携して改善、更には勧告等必要な措置が講じられるよう指導監督の強化に努めることが求められたのです。

大田区はこの施設に在園していた園児を転園させ、施設では昨年3月末時点で廃止届を東京都に提出しましたが、この夏、再び事業開始を東京都が受理していました。
9月時点で、大田区内には18の認可外保育施設があります。検証報告書では、この認可外を利用していた理由として「認可保育所に入所できず昼間利用していた方」 「夜間の業務の方、ひとり親、貧困家庭、要支援家庭など福祉的支援を必要とする利用者も多い」と指摘され、子育て世帯の置かれた様々な状況に対応するため設置された施設が多々あることがわかります。一方で都の指導監査項目を改善しないまま保育をしている施設もまだありました。

提言で、「国は、区市町村による認可外保育施設に対する質の確保への関与や巡回指導の取り組みを支援すること」と具体的に求めていたが、検証報告の指摘は勿論のこと、二度と同様の事態にならないよう大田区として認可外保育施設に対する対応等を質問しました。
答弁では、「都と連携を強化し、認可外施設の利用実態や、認可保育園が利用できないご家庭の状況の把握に努め、再発防止に向け役割を果たしていく。」とのこと。

●人件費率が21.5%と低い保育所も!
保育所運営では、実地検査による安全の確保と同時に、保育の質が問われます。保育士の離職率が高いため、安心して長く働き続けられる環境整備に向け東京都は保育士等キャリアアップ補助金を創設しました。この補助金で画期的なことは、受給要件に保育従事者の人件費比率を明らかにした「賃金改善実績報告書の提出」を義務付け、施設運営の透明性の確保を求めたことです。
この財務情報等について大田区包括外部監査が大変重要な指摘をしていました。区内のある園では、給付費と委託費収入1億3400万円。そのうち事業活動資金収支差額が7700万円、積立試算支出が7000万円と、委託費収入の半分以上の7000万円も積み立てられている実態があったのです。「保育所に給付される委託費は、認可保育園の運営に使用されるべき収入であるのに、多額の積立資産に支出していること自体、不自然極まりない」と指摘していました。
事業活動収入における社会福祉法人、株式会社それぞれの保育職員人件費に充てた人件費比率の平均を質問しました。
答弁では、「社会福祉法人の人件費率は66%。株式会社は35.5%。」と、その差に驚きました。
国は様々な処遇改善を含め人件費比率を70%と想定していると言われているが、2016年度約1500カ所の保育所の人件費比率は、社会福祉法人約69.2%、株式会社49.2%だったので、「大田区で人件費比率が最も低い保育所は何パーセントか。」質問したところ、
「株式会社が運営する保育園で、21.5%」と、あまりの低い実態が明らかになりました。このような状況で保育士が働き、子どもたちを守るために懸命だったのです。

●保育士の処遇改善を確実に実施するために!
委託費は、公定価格に基づき乳幼児の年齢などを積算して決定されます。しかし国の法改正「保育所運営費の弾力運用の規制緩和」は、税金が保育の質よりも多額の積立に回っている現状を生み出してしまったのです。

大田区は、保育士の処遇改善に税金を投入してきました。しかし人件費率という数字からからも保育の課題が検証できます。様々調査をしたところ、世田谷区は保育士の給与を確保し、保育の質を確保するために「世田谷区保育所等運営費助成金交付要綱」を定め、一般保育所対策事業加算として「開設2年目以降の園については、助成を受けようとする前年度の経常収入に対する人件費率が50%以上であること」と規定し実施しているとのこと。
そこで「大田区もこのような改善策について検討すべきだ。」と質問しました。答弁では、「他区の制度も参考にしつつ、補助金の目的が適正に果たされるよう、保育士の個人別昇給状況を報告させることで、処遇改善効果を確認していく。」とのこと。国が人件費率を約7割と見込んでも実態は各企業によって大きく異なりますが、法律を改正するとか、自治体独自で対策を講じるなどしなければ、保育士の処遇は改善されていきません。

●今こそ保育所民営化の検証を!
2000年の法改正後、保育所運営費の弾力運用、株式会社の参入、園庭がない認可保育園の建設など規制緩和が進められました。また、株式会社では近年変形労働時間制を導入する保育所も多く。様々なローテーションのシフトに追われています。じっくりと子どもと向き合い、保育の質を高める余裕がないという声も聞こえてきます。経験年数が短い職員の園長登用など苦労している実態もお聞きしました。

大田区は区立保育園の民営化を進めてきたが、この間その検証は一度も行っていません。23区の区立保育園民営化の調査によれば、大田区が足立区についで最も多くの区立園を民営化し、更に株式会社の参入は大田区が一番多かったのです。また、民営化を検証した自治体では、民営化の課題や良くなった点などをしっかりと分析していました。
そこで「大田区は民営化の検証をして欲しい。検証委員会を立ち上げ議論すべきだ。」と質問しましたが、「適切な検証方法については研究していく。」という答弁。

子どもの育ち、乳幼児期の育ちは非常に大事であり、一人の人間として成長していくときの基礎を育てています。子どもの最善の利益という視点から、保育する人が安心して働くことができる環境を維持することが、子どもの育ちをも支えていくことを忘れてはならないと痛感する日々です。

保育所の安全運営と保育の質の向上を求めていきます。

 

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学校私費会計と給食費

2018.11.27

今年3月、平成29年度大田区包括外部監査結果が提出されました。「小学校・中学校等に関する事務執行」が特定テーマです。

監査項目の一つに学校長が管理する私費会計「学校徴収金」がありました。私費会計の総額は大田区立小学校で17億1068万円、中学校で10億7287万円にも上り、監査で「大田区ではその全体の金額を直接把握していない」と指摘がありました。
憲法第26条は「義務教育はこれを無償とする」と規定していますが、教育目標達成のために徴収する経費は受益者負担という名目で保護者が負担し、学校長の私費会計として処理されてきました。教材など教科活動費の一人あたり負担額や、中学校修学旅行費も学校間で大きく異なっていました。修学旅行の時期や宿泊先などで契約金額の違いは理解できるものの、一人あたり34046円の中学校から、最も高い72019円と、その差額37973円と区立学校間でこれほど大きな開きがあるのです。

また徴収金の一つである学校給食費は、一食あたり小学校低学年235円から中学生320円で子どもの成長に即した給食を提供していますが、一食当たり0.1円から10.8円までの残金を保護者へ返金するなど非常に細やかな仕事や、食物アレルギーのある児童・生徒一人ひとりの状況に対応したメニューの作成など、事故をおこさないよう栄養士の方々の努力も並々ならぬものがあります。

それに加え教員による給食費未納者への滞納徴収など、監査では「苦戦している傾向が伺える」と記載されていました。「世界で最も多忙な教員」と言われる日本の教員は、授業を通した子どもの成長だけではなく様々な事務処理、更に部活と長時間勤務にあり、改善が急務です。

そんな学校現場に対し2016年6月、文科省は各都道府県教育委員会教育長等に「学校現場における業務の適正化に向けて」の通知で、「学校現場を取り巻く環境が複雑化・多様化し、学校に求められる役割が拡大する中、教員の長時間勤務の改善が課題」とし、長時間労働の見直しや、部活動における負担を大胆に軽減するなど、教員が子どもと向き合う教育環境の整備に向けた取り組みを求めました。
その中に給食費、教材費の取り扱いもあり「教員の負担軽減等の観点から、学校徴収金会計業務を、学校の教員ではなく、学校を設置する地方自治体が自らの業務として行うための環境整備の推進」が示され、全国で徐々に取り組みが拡大しています。

そもそも学校給食は戦後の貧困対策として1954年学校給食法として法制化されましたが、会計制度や徴収方法まで規定せず、多くの自治体が要綱等で規定してきました。しかし総務省は「要綱等で学校徴収金の保管を規定することは、地方自治法を勝手に拡大解釈することであり、認められない」と文科省と意見を異にしてきました。

そして今、経済発展したと言われる日本で再び子どもの貧困という事態が進行し、学校給食のあり方はその分岐点です。各学校で私費会計として処理され自治体にその全体像が見えにくい給食費は、日本全国で約4400億円徴収されており、その約3000億円が私費会計として処理されてきました。2016年度の大田区の給食費総額も19億964万9675円と学校徴収金総額27億円余の7割を占めていました。

そこで、以下の点を質問しました。
♦学校給食費の公会計化により自治体の特別会計など歳入歳出により大田区、そして議会にも全体像が見える形に改善してほしい。

学校業務適正化の視点から、教員が学習指導要領に則り、授業改善に取り組み子どもと向き合う時間を確保できる環境を整備することは、教員の力量を高め子どもの学びを支え、それは大田区の地域づくりの要にもなっていくと考えます。国会では給食無償化の全国調査の取り組みが始まっています。

さて、大田区は阪神大震災の直後、全国に先駆け小中学校の耐震化に取り組み、国基準より厳しいis値0,75以上の補強をしてきました。しかしその分、学校改築の時期が集中しています。今年度12校の改築が同時進行し、6月後半から入新井、赤松、東調布小学校及び複合施設の説明会が始まります。学校は地域を代表する公共施設として職員、自らが全体説明会だけではなく、中高層建築物の紛争の予防と調整に関する条例に基づき隣接住民の方々を訪問してご説明するなど、教育委員会施設担当職員は、一般事務職として積み上げてきた仕事とは趣を異にする業務にも対応しなければなりません。

それに加え学校改築を先延ばしにしてきたために老朽化による修繕もあります。教育施設担当が担う50万から130万円までの修繕は平成28年度100件、29年度140件と増えています。2015年度施設担当には建築・機械・電機など専門職含め14名の職員がおりましたが、2016年度は事務職のみの8名でした。大田区全体の仕事量を踏まえた職員配置や減員があることは理解しておりますが、2016年度5月この部署の超過勤務時間は一人あたり約70時間と、業務量に見合う職員配置だったとはいえません。
♦今後一年で16校同時改築というピークも迎えるとき、子どもの学び育つ安全安心な学校、地域に開放された防災の拠点や複合施設として多岐にわたる機能を備えた学校施設整備にあたり、今から担当職員を育て充足していくことを求めました。

企画経営部や総務部では各部局の業務量に見合う管理職や係長の配置、職員の配置を適正に行う努力をしていることとは思いますが、東京都からの事務移管と人口増、そして財政規模の増大に職員定数4135人の見直しの時期にしています。
しかも大田区が児童相談所を運営するためには、医師や弁護士に加え、児童福祉司18名、児童心理司9名、さらに実務経験が10年程度のスーパーバイザーの児童福祉司、心理司おおむね5人に1人を確保しなければなりません。
更に児相設置市事務として都から大田区に14にも及ぶ膨大な事務が移管されます。児童福祉法によれば、新たに区が担う事務は、国の通知等による児童相談所の事務、児童福祉審議会の設置など高度な専門性が必要な事務、児童委員に関する事務、児童福祉施設に関する事務があり、施設として乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センターなど全ての施設が新たに対象になります。また障害児施設給付費の支給等に関する事務や小児慢性特定疾病医療費の支給等に関する事務、結核などの児童に対する指定療育機関の指定などに関する事務、さらに質問で取り上げてきた認可外保育施設の事務を担う職員が必要なのです。

大田区はこの間2548人の職員定数を縮減し、職員定数計画は2021年度まで4135名を目安としていますが、歳出に占める人件費率は16.9%と過去最低です。各部局の仕事が滞りなく進められるためには、職員の努力や残業に負うだけではなく大田区の適正な職員定数と適正配置が求められ、スマートワーク宣言につながる早急な対策を求めました。

自分が暮らすまちへの親しみや愛着は、自治体職員の仕事とも相関していると私は思います。職員が区民を支える仕事に元気に取り組んでくれることが、公共の福祉を担う自治体の基盤であり、子どもの学びや育ちをしっかりと支える自治体が高齢化社会を生き抜く。職員はその基盤です。

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航空機騒音の現状測定を!

2018.04.29

戦後の経済成長の陰で公害が社会問題になり、大田区でも工場の操業が課題になり1967年の平和島および昭和島の埋立をはじめ、京浜島・城南島など次々埋立てが続き、大田の中小企業が工業専用地域へ移転し操業を続けてきました。

1993年地球規模の環境対策を求め環境基本法が成立し、その中で人間の健康または生活環境に係る被害が生ずる「大気汚染・水質の汚濁・土壌の汚染・騒音・振動・地盤沈下及び悪臭」の7公害が規定されました。

工業専用地域は、騒音規制法や振動規制法の規制対象外地域ですが、そこで働く従業員や敷地外への被害を防止するため大田区長は各事業者、或いは組合と環境保全に関する協定書を取り交わしています。

例えば「屋外で公害を発生させる作業をしない。」「低公害車の割合を排出ガス75%低減レベルの自動車に換算して5%以上とする」など自主目標値を決めています。協定は行政指導と似ていますが、行政指導と異なる点は「合意した所定の行為の継続」が求められることです。現在大田区と協定を結んでいる組合は31組合、事業所は132です。

城南島で操業を続けるある会社の協定書によれば、ISO14001に準じ公害防止管理に取り組み、「工場で使用する機械は低騒音型機械を使用する。建物は騒音を低減させる構造とする」など協定に盛り込み努力をしています。しかし上空では飛行機が飛んでいます。この時期、南風でB滑走路に着陸するため城南島上空を通過しますが、ある工場を訪れたとき、会社の中でさえ会話が聞こえませんでした。

昨年12月、国土交通省所有E170小型機航空機で、大師地区上空で想定しているB滑走路西向きの体感飛行をしたところ、小型機で85デシベルも測定されたそうです。大田区上空は既に飛行しているのですから、まずは現状把握のため国が定める測定方法である短期測定連続7日間を城南島で実施するよう求めました。

大田区環境保全課も努力していることは理解しているが、各社も大田区長と環境保全協定を結び努力しています。

私は、環境保全課から騒音測定器を借りて夜間の飛行機騒音値を測定をしました。直近の3月13日夜6時台、風は南南西で風速は5.9メートルパーセコンドでした。ほぼ2分おきに飛来しJAL322便・福岡発羽田着の城南島上空を6時50分頃に通過した飛行機は90.7デシベルでした。更に着陸時の逆噴射の音はもっとひどく、南風の運用比率は40%です。

今後新飛行ルートによるB滑走路西向き飛行の影響は大田区民が暮らしている市街地に及び、飛行機の噴射を市街地に向けるのです。区は様々な状況に対処するデータを持たなくてはいけない。

京浜島が完成したとき、当時の知事が「東洋一の中小企業工業団地だ」と推奨し、飛行機の影響は受けないと説明し各企業は移転したが、その後新A滑走路を5度ずらした騒音影響が多大になり訴訟が始まり、上空を飛行しないと和解に至りました。

昭和58年12月の環境影響評価書では「京浜島は航空機騒音に係る環境基準の適用を受けない地域だが、将来は75Wecpnl以下となると予測され、航空機騒音は著しく改善される」と書いていたのです。更に昭和59年9月7日の財団法人航空公害防止協会主催の評議委員会において新C滑走路完成後は原則として飛行しないと明記したのです。それでもあの当時、国は京浜島飛行経路の地図を作りどこの会社の上空を飛ぶか具体的に示したが、今は教室型説明会すら行わない。鉄工団地も騒音・振動の影響で仕事が中断するため必死で自分たちでもこの地図を作って訴えていました。

大田区のものづくりを担ってきた工場がどんどん減少していく現在、せめて現在必死に操業を続けている企業を守るのが大田区の責務であり、現状を把握し、いつどんなことがあっても根拠となるデータを持つことがトップの仕事ではないでしょうか。

試験飛行は勿論ですが、今現在飛行しているルートであれば大田区ですぐできることです。

国の検査飛行を待つのではなく、自治体として区民の生活、中小企業の仕事を守る判断をするよう質問しました。

大田区では現在区内3か所で年間、24時間測定を実施。更に毎年12月に短期測定を5か所で実施。空港近接地の住環境への騒音影響把握のため短期測定を4か所で2018年度も実施しますが、城南島など既にルートになっている地域の測定も実施し、データを持つよう諦めず働きかけていきます。

日中、誘導灯からB滑走路へ着陸を進める飛行機。

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子ども・若者の学びを支援するために・・・定例区議会質問から

2018.04.28

2006年、経済協力開発機構が「子どもの相対的貧困率」を発表し、OECD加盟国で日本の子どもたちの貧困、特にひとり親家庭の相対的貧困率の高さが指摘されたことは、大きな衝撃を日本社会に与えました。

2013年6月、親から子への貧困の連鎖を断ち切ることをめざした「子どもの貧困対策の推進に関する法律」がようやく成立し、「生まれ育った環境によって子どもの将来が左右されることがないよう」教育の機会均等の対策を国・地方自治体の責務で行うことが義務づけられ、翌年8月には「子どもの貧困対策に関する大綱」に、子どもの貧困率や生活保護世帯の子どもの高校進学率などの指標を改善することが盛り込まれましたが、親の所得格差は拡大し続け、子どもたちの置かれた状況は依然深刻です。

大田区は、子どもたちの経済的困窮に起因する生活困難を把握するため全国の自治体の中でも早期の2016年に実態調査を行いました。調査結果から生活困難層の課題、ひとり親家庭の厳しい生活実態などが判明しましたが、子どもたちの「自分は価値のある人間だと思わない」という自己肯定感の低さに私は愕然としました。

翌年6月には「おおた子どもの生活応援プラン」を策定。子どもの健やかな成長を願う区民の自主的な学習支援や子ども食堂の大きな力、先駆的な区民団体と連携した行政の取り組みが今後どのように展開されるか問われる日々です。区内4か所で学習支援を行い高校進学の生徒が少しずつ増え、2018年度予算には更なる子どもの応援プランが計上されましたが、子どもの生活応援プランの狭間で見落としがちな課題もあります。

それは東京都が実施した「子供の生活実態調査」結果からもわかります。東京都は子どもと若者の2段階に分けて調査をしましたが、そこから見えてきた若者の姿は、若者が属する14.9%の世帯が低所得でした。若者が「持ちたいけれど持てないもの」として「自分に投資するお金」「家の中で勉強できる場所」をあげていましたが、経済的理由で大学進学をあきらめなくてもいい自分への資金、狭くてもいいから集中して勉強する部屋が欲しいという願いは、決して贅沢ではないと思うのです。

更に「学校を辞めたくなるほど経済的に悩んだことがある」若者が15%を超え、特にひとり親世帯が21%と高いのです。経済的理由で大学に進学する割合が低いにも関わらず、ひとり親世帯では 様々な支援制度の認知度が低く、福祉事務所への相談はわずか3・9%に過ぎず、相談する相手や場所がないと回答した方が一割もいました。

例えば生活保護世帯では、高校卒業後自立が求められ就職が基本です。18才で世帯分離され保護費が打ち切られるため、大学進学の授業料、通学定期代、学習経費、生活費など大学進学経費は全て本人が賄わなければならないのです。

ひとり親世帯の場合、母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用すれば無利子で月額8万1000円。これらを授業料に充当させ、生活費等は全てアルバイトで賄うのです。平日大学へ通い、土日・祝日は働きながら学ぶ4年という歳月。就職時点で多額の奨学金返済という現実も待ち受けているのです。

「貧困の連鎖を断ち切る」国はそう明言して法律を作りましたが、努力を重ねている多くの若者、全ての学びたい学生が安心して教育を受けられる支援が乏しく、制度が不十分です。それは生活保護世帯だけではなく低所得者、ひとり親家庭、或いは多子世帯などボーダーと言われる世帯も同様です。

日本学生支援機構は、奨学金返済が滞った自己破産が延べ1万5千人に及ぶと発表し、その内訳は本人が8108人、親や親戚など連帯保証人が7230人だそうです。支援機構では返還猶予として、奨学金の利率を10%から5%へ引き下げ返還猶予の利用期間を5年から10年に延ばす制度改正をしましたが、2019年4月以降猶予制度期間が切れるため、現在猶予制度を利用している約1万人に影響を及ぼすと指摘されています。

晴れて社会人という希望ある一歩を踏み出す時点で、多額の奨学金返済を背負う学生がこれほど増加している日本で、貧困の連鎖を断ち切るために学びたいと願う若者の背中を押してあげる政策を今こそ制度化しなければ、少子化に向かう社会で誰が高齢化社会を支えてくれるのか。

大田区には区民のご寄付により設立した末吉育英基金、給付型奨学金があります。平成26年第2回定例区議会で末吉育英基金が提案され、多くの子どもたちが返済を必要としない奨学金に助けられてきましたが、その原資は少なくなっており、今後の存続を求め質問しましたが、残念ながら残額約2800万円という現実でした。給付型奨学金の継続は考えておらず、貸与型奨学金制度を運用するとの答弁でした。

昨年の第3回定例会の決算討論において私は給付型奨学金の継続を求め、その原資としてふるさと納税の活用について触れました。2016年度特別区民税から税額控除のふるさと納税額は7億4000万円、今年度は13億円と増加しています。大田区民がサービスは自治体から受け、税金を他自治体へ寄付するふるさと納税ですが、ふるさと納税は、自分が住む自治体にも可能であり、それらを子ども支援に回すことは区民の理解を得ると考えます。

例えば文京区はふるさと納税を原資にクラウドファンディングとして寄付をいただき、子育て支援課が子ども宅食を始めました。就学援助を受けている世帯やひとり親家庭に就学援助の案内と同時に宅食のチラシを同封し、今年度140世帯の募集に458世帯の申し込みがあったそうです。年間2000万の目標に対し1月15日現在2297名の区民、区外の方から7995万6000円のご寄付をいただき、2か月に一度、約10キロ相当の食材を宅食しています。4月以降600世帯に拡大する予定だそうです。

神奈川県の多くの弁護士や司法書士などで構成しているNPO反貧困ネットワークでは、「生活保護世帯から大学・専門学校へ進学する」という名称でパンフレットを作成しました。パンフレットには授業料とその減免制度、大学生活に必要な通学定期代、学習費、生活費などの必要経費、行政や社会福祉協議会の支援制度、奨学金の種類とアルバイトについて等、大学進学後の生活設計、卒業後の返済計画が細やかに記載し、神奈川県立高校、横浜と川崎の市立高校に無料で配布し指導に役立てています。また東京都高等学校PTA連合会からも問い合わせがあり100部進呈したそうです。低所得・生活保護世帯の若者の進学を支えるために、支援制度等をまとめたパンフレットの作成を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。経済的理由で大学進学を諦めないよう若者に様々な部署が具体的な制度の情報を提供し、学生時代の生活設計に早期に取り組めるようにして欲しいと考え質問したところ、「必要な情報を必要な世帯に的確に提供できるよう、周知方法の一層の工夫を図っていく。」との答弁でした。

埼玉県では「大学進学のための経済的支援ガイド」を作成しています。この資料は大学の入学料・授業料減免制度、給付型奨学金、貸与型奨学金、教育ローンなど各制度の特徴を詳しくまとめ、更に関東を中心に各大学が実施している約1400件の給付型奨学金や授業料免除など進学支援制度を掲載しているため、経済的に厳しいけれど自分にふさわしい大学選びを支援しています。この資料を拝見して、いかに各大学では若者の学びを支えているか、いかに日本の高等教育の公費支出が少ないか痛感しました。

区内で働く若者を支援するため、就労促進に向けた法人等と連携した大田区奨学金返還基金制度の創設を検討してはいかがでしょうか。徳島県では「徳島県奨学金返還支援基金」を立ち上げ若者の県内就職の促進と県内産業の雇用創出の推進に向け、一定期間県内事業所に就業した場合に、奨学金の返還を支援する制度を創設しました。年間2億円の基金には法人・企業からも寄付を募り、無利子奨学金の場合、借受総額の2分の1を助成、有利子奨学金の場合は借受総額の3分の1を助成しています。高校生・大学生各100名と年間200名を対象として、昨年度は221名を認定しました。大学卒業後の一定期間大田区内で働き、なおかつ奨学金返済額が少しでも減免され仕事を続けられることは、若者にも区内事業所にとっても大変重要です。

今回訪問したご家族では、大学に進学する娘が介護ヘルパーとして働きますが、例えば区内社会福祉法人の社会貢献事業としてこうした若者を支援し、尚且つ区内で働いていただける環境の創設は重要です。私は2014年第3回定例区議会で社会福祉協議会を中心とした区内社会福祉法人の社会貢献事業の必要性を質問いたしました。大阪府では県内社会福祉法人が介護施設のベット数に応じて1ベッド1000円を拠出しあい、生活困窮者を支援しています。大田区でも介護ヘルパーや保育職の人材確保が厳しい現状が続いていますが、自治体や法人が協力し合い大田区で働きたい若者の確保と育成のため制度を作るべきと考え質問したところ、「福祉サービス人材の確保・育成は、地域社会の柱の一つ。学生の支援と地域社会の活性化の両立を可能とするために、どのようなことができるか模索していく。」とのこと。

教育基本法第4条3項には「国及び地方自治体は、能力があるにもかかわらず経済的理由によって修学が困難なものに対し奨学の措置を講じなければならない」と謳っております。全ての子ども・若者を育てぬく自治体が、今後の地域活性化における要であり、大田区の未来を切り開くと確信し質問しました。

 

 

 

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2018年 第一回定例区議会がはじまりました

2018.02.20

2018年第一回定例区議会が開催され、3月27日まで予算等の審議をいたします。

この度の議会には2018年度一般会計予算関係が8件、条例案25件など多数の議案が付託されました。

2018年度一般会計予算は約2787億円余と過去最高の規模で、前年比169億円余も多い額です。

区民の日常生活を支えることを最優先に予算を審議してまいります。

 

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