第3回定例区議会の質問から  大人も子どももひきこもらない大田を目指して

2010.10.15

 

季節の移ろいは早いもので、もう10月です。
さて、第3回定例区議会で「福祉と教育」について質問しました。
大人も子どもも引きこもらない社会を作っていきたいものです。
 
 この夏、熱中症で亡くなられた高齢者の方が地元におりました。入院先の奥様を見舞う姿が見られず、懸念した病院からの通報で発見されたのです。「電化製品が故障しているから直さなければ」と話していた矢先とのこと。子のいない夫婦二人だけの家庭で、それから一週間ほどして、とうとう奥様も亡くなってしまいました。
この夏ほど、近隣で暮らす様々な高齢者の安否が気遣われ、地域のつながりを考えさせられた年はありません。
介護保険制度が始まった2000年、218万人だった要介護認定者は、2010年には485万人と267万人も増加し、特別養護老人ホームの入居待ちが、全国で約42万人。介護従事者は、年間63千人の割合で増え、現在140万人。2025年には212万人の確保といわれますが、労働人口が年間約45万人減少と推定され、高齢者も雇用しなければ対応できないと言われております。
それに加え、介護費用は、2000年の3.6兆円から現在79千億円、そして2025年には約20兆円と試算されています。
大田区の介護保険特別会計も、2008年度約339億円から、2009年度決算約358億円と増加しており、今年度396億円と高齢化と財源確保は重要課題です。
この点について、2010年度、都区財政調整協議においても、「実質的な義務的経費である医療・介護保険制度への繰出金も財政圧迫の要因の一つ」としておりました。特別区に共通の課題である高齢化への対応や、子育て支援など、喫緊の課題が山積みのなか4項目の提案がなされた財調協議で、特に目を引いたのが、市町村民税法人分等の大幅減の東京都が、23区へ迫った現行の基準財政需要額の算定内容見直し。対する23区は区市町村振興基金の活用です。
本年2月、区市町村振興基金は公共施設改築工事費等に活用と合意、実質的な減収補填措置は講じられるのだそうですが、東京都、そして財調制度がある限り、特別区には、より一層財務に長けた職員集団、その育成が必要だと痛感します。
松原区長には、今後の景気や雇用不安による税収減など、厳しい財政運営が余儀なくされますが、大切な税金を、羽田空港跡地購入へ投入することは、自治体の本来の責務である高齢者対策、子育て支援、まちづくり、教育など、区民生活の安心が担保できない財政状況を招きかねず、改めて、住民の福祉、地に足のついた自治体運営を求め質問に移ります。
 
まず、福祉について質問いたします。
大田区では、65歳以上の方が、201041日で140,331人、そのうち一人ぐらし世帯は43959世帯と、実に3世帯に一軒の割合です。一人暮らしの方は、一日の85%、睡眠時間も含め約21時間を一人で過ごし、社会的孤立に近い状況が続くため、放置すれば、自ずと認知症の確率が高まり、要介護となりやすいと言われております。
また、社会で支える介護といいつつも、家族介護に依存している日本では、一人暮らし高齢者の介護をどう支えるか、大きな問題となっていきます。 
現在、特養の区内ベッド数が1,320床ですが、3月時点での特養待機者が1498人と、入居はかないません。それでも、区が補助金を出して確保してきた区外特養ベッド数75床、利用者本人が区外へ申し込んだ357床と、区外特養ベッド数の合計は432床、その上、介護保険制度の住所地特例対象者が811人と、多くの方々を他の自治体の施設へ入居していただいても、まだ不足しているのです。
私は、本来、ケアハウスなどの施設と特別養護老人ホームの中間施設が必要なのではないかと考えています。
ケアハウスは、原則として自立できている方が条件のため、事務や調理の方はおりますが、ヘルパーはおりません。要介護状態になった時点で、他の介護施設に移らなければなりません。
比較的軽度の認知症の方のためのグループホームも若干ありますが、そうした制度の狭間をぬう形で、無届け老人ホームが作られてきました。たまゆらの火災後の調査で判明した数は、東京都で大田区が最も多い20箇所。スプリンクラー設置補助などの対策がなされてきたとはいえ、ベニヤ板で仕切った3畳ほどの居室など、課題がありました。
高齢者等の権利擁護である成年後見制度の区長申立ても活用され、2008年度で16件、2009年度で23件でしたが、一人暮らしで身寄りのない高齢者だけではなく、今問題なのは、家族が関わりを拒否し、一人きりになってしまった高齢者も増え始めていることです。そうした方々も含め、居場所の確保に担当職員がどんなに懸命になっても、施設そのものが不足していては限界があります。
一人暮らしや身寄りのない高齢者なども含め、大田区で生活したいという願いにこたえるため、軽度の要介護者の施設整備をもっと進めるべきです。いかがでしょうか。
 
さて、2012年度の介護保険改正に向け、厚生労働省の、65歳以上の保険料を4160円から5千円を上回りかねないとの見通しに驚きましたが、少子高齢化の将来を考えれば、要介護者をいかにして増やさないか、その対策が早急の課題です。
75歳以上の高齢者の介護認定率は29.8%ですが、65歳から74歳の認定率は、4.5%とまだ低いので、この前期高齢者の時代に、引きこもらせない取り組みを始めている自治体の介護費用は少ないのです。
23区の中では、既に、元気高齢者への具体的な取り組みを進めている区があります。
例えば、大田区と規模が似ている練馬区。高齢者の集う「食のほっとサロン」を現在14箇所で運営し、今後30箇所まで増やすために、この10月にも新たな募集を行います。とにかく家にこもらせないこと。食事や自主企画などで利用者同士が交流し、口腔ケアなどの歯科衛生指導を区が提供。場所は、空き店舗、学校の余裕教室、或いは、個人の自宅など多様ですが、自宅から歩いて通える範囲が長続きの秘訣であり、毎月約400名の高齢者が元気に参加しているそうです。
この事業の23区総額は、137611520円。東京都高齢社会対策包括補助金の半額補助が、3年で切れることは問題ですが、練馬区では4年目以降、区単独で13000円の委託費、1時間300円の会場使用料などを出しているそうです。
ところが、大田区では、おおた未来プランで「元気高齢者の活動、交流の場の確保」といいつつも、計画がいっこうに進んでいないのは、何故でしょうか。
先日、区内で高齢者の食事支援、居場所づくり、サロンを自主的に行っているNPOを訪ねました。高齢者に優しい味付けの食事、作っていた方は78歳。その日の利用者の最高齢は88歳。楽しく元気な時間があっという間に過ぎました。
あるご婦人は「主人が死んだ後、元気をなくしていた私は、ここで元気になりました。」としみじみ語っていました。朝晩の食事を簡単に済ませても、ここで昼食をいただき一日の食事バランスがとれると語っていました。ちょっとおしゃれも楽しみ、男の方も女の方も、まるで第二の青春のようでした。
運営の方も、食事を作る方も、全くの無給です。人生経験を生かしつ、幾つになっても人生を楽しく生きる高齢者に、老いに向かう人間の美しさを見た思いがいたしました。区長のめざす地域力とは、このような活動をさすと思うのです。
それなのに「ふれあいサロンを平成22年度にはモデル事業」と明記した大田区が、そうした地域の活動を支援することもなく、ましてやモデル事業さえ実施していません。大田区はいつになったら実施するのでしょうか。来年度は、整備支援拡充の予定ですが、このままで拡充ができるのでしょうか。拡充するとすれば何箇所の予定でしょうか。お答え下さい。
老人いこいの家を再構築することが計画に上っていますが、施設にふれあいサロン機能も持たせるなど、多様な活用方法を検討し、元気高齢者の社会参加を促す居場所づくりを、せめて18出張所に作る気概を持つべきです。いかがでしょうか。計画は実行されてこそ命を吹き込みます。
老人福祉法第5条の42項は、各自治体では老人の福祉に関し必要な実情把握に努めること、情報提供をおこなうこと、相談に応じること、これらに付随する業務を行うこと、そして、6条には、その業務を行うために老人の福祉に関する技術的指導をおこなう社会福祉主事を置かなければならないことなど明記されております。高齢社会に大田区がどのような視点で取り組むか。その違いで自治体の未来が大きく左右されることを訴え、福祉の私の質問を終わります。
 
続いて、教育についてです。
小・中学校の不登校数がついに17万人を越え、その3割から4割は引きこもりという調査結果が発表されました。
先日、東京都主催の「不登校・若者自立支援フォーラム」で、実際に不登校だった方のお話を聞きました。中学校に一度も行かず、クラスメートの「学校楽しいよ」という手紙にも応えられない自分が苦しく、部屋を真っ暗にして生活。中学校4年目のクラスを通知されたときの悲しみ。とうとう17歳で中学校除籍。20歳までひきこもり。そして死にたいと自殺願望に陥ったとき、初めて「もう一度、学校へ行ってみよう」と思ったそうです。夜間中学に入学し、学校を休まないようにと、無理に自分に言い聞かせていたそうですが、2年目でとうとう2週間学校を休んでしまった、その時に先生がかけてくれた言葉は「休めてよかったね」だったそうです。初めて気持ちが楽になり、そうして彼女は肩肘張らずに8年間の学びののち、教員として今、中学校の教壇にたっています。
「自分らしく、安心して生きられる居場所」の大切さと、それと同時に、「親の育て方が悪いから不登校になっていると、家族を責めないで欲しい、家族も孤立しているのです」と語る言葉に、とても説得力がありました。
今、学校では教員も子どもも時間に追われ、子どもらしい伸びやかな時間が保障されているでしょうか。「休めてよかったね」と、彼女を見ぬいて声をかけた教員に救われる、そんなつながりが必要です。
そんな不登校の原因と、もつれた糸をほどくように、時間をかけて向き合っている登校支援員と呼ばれる方がおります。江戸川区の登校支援員の方は、学校、教員と繰り返し面談し、子どもの情報を得た上で家庭訪問をし、「何故、今の状態が起きているのか」を観察して、じっくりと登校を働きかけてきました。この取り組みで、生徒の復帰だけではなく、学校や生徒や家庭の情報を、支援員を通して把握でき、学校全体がより効果的に不登校と関わりがもてるそうです。
都内には、2007年の調査で25000人のひきこもりが存在し、意識上でひきこもりに近い親和群が16万人、内閣府の統計では全国に70万人といわれております。
不登校、引きこもり対策は、児童・生徒が2~3日休み始めた早期の段階から注視する必要がありますが、大田区では2009年度、小学生94名、中学生387名と481名が不登校でした。小学校で3割、中学校で2割の復帰率とはいえ、370名近い児童・生徒は、不登校を続けています。また、大田区のスクールカウンセラー利用状況を見れば、中学校では、教員・保護者、児童生徒からの不登校相談が、実に全体の42%を占めているのです。
適応指導教室の増設や、個別指導、小グループ活動など、様々な対策を講じていることは勿論評価いたしますが、合わせて登校支援員のように、じっくりと不登校と向き合い支援する人材活用を考えてはいかがでしょうか。
例え一人であっても、同年齢の子どもの学びの場、集団生活の場で青年時代を過ごす子どもたちを増やせるよう願いをこめ、大人も子どもも引きこもらない社会に向けた私の質問を終わります。

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