9月議会がはじまりました 

2011.09.19

 残暑が長く続き、9月も30度を超す毎日でしたが、皆様お元気にお過ごしでしょうか。大田区議会では、第3回定例区議会がはじまりました。16日に行った私の質問の要旨を掲載いたします。 

8月福島県いわき市で地元の方が「国会議員は、被難所で一緒に生活して欲しかった。被災地と国との温度差が大きい」と話していました。大田区はじめ自治体や市民の支援には本当にスピード感があったから尚のことだったのです。そうした中、福島原発から20キロのJビレッジにも行き、福島原発の作業から戻ってきた原発労働者と遭遇しました。最前線の仕事をされている姿に何とも言えない気持ちでした。
1977年、世界で初めて定期点検中の原子力発電所内部に入り写真を撮ったカメラマンの樋口健二さんが訴えていた、被ばく原発労働者の姿と重なったのです。日本ではどちらかといえば無視されてきた樋口さんをイギリスのメディアは1995年、原発銀座福井のドキュメンタリーとして報道しました。被ばく覚悟で取材を続け「これまで50万人も下請けの原発労働者がいた。被ばくなしに原発は運転できない。絶対運転を止めなければ」と、再生不良性貧血に侵された今も語りかけています。 放射能に汚染された土地、戻りたいけれど戻れないジレンマ、子どもたちの健康不安が続く日々。
 
でも私達東京都民は、これまで安穏と地方の原子力の電力を消費してきました。今ここで踏みとどまって、脱原発、自然エネルギーのあり方を議論し、福島原発事故を日本のエネルギー政策の転換点にしなければなりません。 
 
さて、1995年4月、電気事業法が31年ぶりに改正され、2000年、特定規模電気事業者いわゆるPPS事業者も、電力小売りの自由化に参入できるようになりました。2004年4月には契約電力500kW以上、2005年4月には50kW以上の利用者と高圧の利用者も電力の購入先を選べるようになり、原発に依存しない電力の選択も可能となったのです。現在PPS事業者は46社ですが、この間、23区清掃一部事務組合でも、清掃工場の余剰電力を売却してきました。
電力入札に際し「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」いわゆる「環境配慮契約法」、電力入札のグリーン契約は製品やサービスを調達する際に、価格に加え環境性能も含め総合的に評価を求めてきました。その実態は、電力販売では、100点の評価点で二酸化炭素排出係数を70点に設定し、原子力発電所を優位にしていたのです。しかし、原発事故がひとたび起きれば、二酸化炭素どころか、放射能汚染で居住すらできません。
東京都環境局のエネルギー環境計画書には、電気事業者のCO2排出係数が公表されていますが、PPS事業者も東電とあまり変わりなく、東電より低いPPS事業者もあり、CO2排出はクリアーされてきました。
 
 
実は、省庁では、既に電力入札が行われています。原子力発電所を管轄する経済産業省は、東電と契約していた1999年、年間契約電気代が約3億円でした。2000年から入札を開始し、電気代支出を減らし、昨年は、丸紅と1億8650万5009円の契約でした。また、文科省・内閣府・総務省はエネット、国交省はJパワー、唯一東電から購入していたのが防衛庁でした。
また、立川市では、競輪事業部がPPS電力を購入し、東電時代は6200万円の電気代でしたが、昨年、12月で既に1700万円も節減できたため、今年度は、大幅な節減めざし入札を53施設に増やしたそうです。
2009年11月の一般質問で、私は、各学校が削減した水道光熱費の半額を学校へ還元し、環境教育に生かすフィフティ・フィフティについて質問し、その際、23区の清掃工場の余剰電力を安く小中学校で購入し、光熱費削減に取り組むよう質問いたしました。2010年から中富小学校、中萩中小学校、大森第一中学校、今年度から大森第四小学校、馬込東中学校と5校が、大田清掃工場、江戸川清掃工場の電力を活用している東京エコサービスから電力を購入しています。東電より一校当たり約10万円、23区全体で84校、年間850万円の電気代を削減し、今年度23区全体で40校増やし、124校が利用しています。
現在大田区でも各施設の光熱費の節減に懸命に取り組んでおりますが、区役所だけでも昨年1年間の電気代は5090万5239円と多額です。大田区には入札可能な50kW以上の電力契約をしている施設、或いは高圧受電設備を持っている施設が約240か所もあります。
厳しい税収への対応、そして原発に頼らないエネルギーを育てる意味からも、区施設への電力の競争入札を検討してはいかがでしょうか。
 
また、教育委員会では、是非、環境教育のフィフティ・フィフティに取り組んではいかがでしょうか。

 続いて福祉について質問いたします。
8月30日、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会は、長い議論の末ようやく「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」をまとめました。提言には、障害者権利条約の「私たち抜きに私たちのことを決めるな」という基本精神と、2010年に障害者自立支援法違憲訴訟団との間で結ばれた「基本合意文書」に即した内容がも網羅されています。特に、
・障害のない市民と障害者の平等と公平
・制度の谷間や空白の解消
・地方自治体の財政事情などによる格差の是正
・社会的入院を余儀なくされている精神障害者など、放置できない社会問題の解決
・障害当事者のニーズにあった支援サービス
・財源確保について国民の共感を得た安定した予算の確保
 

この6点を目指すべき方向性として打ち出したことは、全国1000万人といわれる障害者とその家族にとっても大きな一歩です。
 思い起こせば自立支援法の導入によって、応益負担を巡り、多くの障害者が議会へ陳情に訪れ、大田区も月額5000円を上限とする補助を決めた日から、新たな制度に向けた道のりでした。
特に、自立支援法へ移行してしまった施設へ通所が困難だった利用者にとって、かけがえのない受け皿ともいうべき小規模作業所が、提言にあったように就労継続支援などの枠組みが取り払われ存続できる方針は、引きこもりがちな障害者の社会参加と就労を支える大きな安心に繋がります。
今後、来年の法案提出にあたって、市区町村や都道府県をはじめとする関係者の意見も反映されることでしょう。障害の有無に関わらず個人として尊敬され共に生きる社会を作るために、かつて福祉の大田といわれ、およそ23000名の障害者が暮らす福祉のまちづくりに取り組むよう、この提言を生かすべきと考えますがいかがでしょうか。
勿論、財政課題はあります。しかし、地域生活支援サービスの予算規模をOECD加盟国の平均と比較したところ、日本の障害者予算は約2分の1にしかなかったのです。障害当事者も含め55人の委員の議論は財政について議論した末、応能負担でも低所得者には軽減する「原則無償」としながらも、高額所得者には応能負担を求めることと踏み込んだのです。
松原区長がめざす障がい者総合サポートセンター建設にあたっては、これまでの方針に加え、提言に込められた障害者の尊厳、意義を十二分に生かした施設整備と体制とすべきと考えますがいかがでしょうか。
またセンター内ではピアカウンセリングはじめ様々な相談事業も行われると思いますが、緊急時の対応なども含め24時間相談体制にも取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
提言では、長期にわたって施設や精神科病院などに入所、入院している現状を直視し、地域社会において自己決定が尊重された普通の暮らしが営めるよう支援し、地域生活への移行を推進するための総合的な取り組みを推進することを求めています。
厚労省は既に脱施設化に取り組み、アメリカ・マディソン郡の精神保健も参考に、全国の病棟の約2割、7万2千人の社会的入院者を今後10年で退院させる取り組みをしております。大田区では、23年度までに地域生活へ移行する退院可能精神障害者数を 136人とし、地域生活へ移行する福祉施設入所者数 47人 、一般就労へ移行する福祉施設利用者数 45人と見込んでおりましたが、達成はなかなか困難であり、十分機能させるためには、これまでの取り組みと現状を検証しなければなりません。
地域生活支援への移行を進めていく上で、医師による治療や薬の処方に頼るだけではなく、ソーシャルワーカーによる生活問題の把握、生活保護受給者を担当するケースワーカー、保健師、就労支援専門家や事業所のスタッフなどの連携で様々な情報を共有し、その上で利用者個人に合ったプログラムが取り組まれているか、また取り組みやすい区の組織形態になっているかどうか、大田区における現状を把握することが課題です。
 
 
 この点は、来年4月から実施される第5期介護保険においても同様です。
この度の改正では、何よりも「地域の自主性及び自立性を高める」として、事業者の法人格要件や地域密着型サービスの入所定員に係る基準を「条例に委任する」とするなど、自治体の裁量を大きくしています。自治体の財政力や取り組みによって、自治体間、利用者間に格差が生ずる方向性が大変危惧されます。
私は、福祉から介護保険へと制度が変わる中で「自治体が介護現場の実態を十分に把握できなくなってきた」ことが最も危機的な問題と考えますが、区はどのようにとらえているでしょうか。
介護保険導入の当初から、せめてケアマネージャーを自治体の職員とすべきだと質問を繰り返してきましたが、現場を知る手立てや現状分析が十分でなければ、どうして高齢者と地域の実態に即した有効な政策が打ち出せるでしょうか。
障害者総合福祉法、そして、第5期介護保険の改正を前に、大田の現状を把握し分析できる仕組みと、福祉に基づいた大田区独自の取り組みを検討すべきと考えますがいかがでしょうか。
また、障がい者福祉のあらましのなかに記載されている相談員について、個人の電話が記載されていますが、早朝や深夜の相談などもあり困っている相談員もおりますが、見直しを検討すべきではないでしょうか。

最後に、清掃一組の海外展開事業について質問いたします。
23区清掃一部事務組合では、新たに「清掃事業国際協力室」を立ち上げ、「清掃事業国際展開に関する調査委託業務提案」の募集を8月に実施しました。清掃一組の国際協力の在り方やビジネスモデルについて、可能性を検証する調査として、東京都と一組、そしてエコサービスの3つの組織を視野に、700万円の調査委託費を含む1800万円を計上しているものです。
23区の清掃工場は高い技術力と専門家が養成されてきたため、国外からの視察も多く3000名を数えるといわれております。しかし、区移管後は、アウトソーシングが進められ専門職が少なくなっています。国際協力の前に、人材確保と育成にこそ力を注ぐべきです。
清掃一組の設立にあたって、組合の共同処理する事務は「可燃ごみの焼却施設の整備及び管理運営」とし、その規約に基づき23区の可燃ごみの焼却に分担金を拠出してきました。区長が参加する一組評議会では、この点をどのように受け止め議決されたのでしょうか。
また、東京都下水道や水道局の海外展開を見習われたようですが、23区の分担金での運営ですから、その点を踏まえ、安心で安全な清掃工場運営に努めるべきです。
 

 
 最後に一言申し上げます。
文科省と経済産業省資源エネルギー庁で編集した小・中学生のエネルギー副読本「わくわくランド」が福島原発事故の後に回収されました。そこには「若し地震が起きたとしても、放射性物質を扱う原子炉などの重要な施設は、まわりに放射性物質がもれないよう、がんじょうに作り、守られています」と書かれて子供たちに教えられてきたからです。子どもたちに真実を教える教科書の選択がいかに大切なことでしょうか。
国家100年の計は教育にありと先人は教えました。100年先を見据えた大田区政を願い、私の質問をおわります。


 

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