2012年度 予算の討論

2012.03.27

27日午後1時。議会最終日。2012年度予算に対する反対討論を行いました。

大田区には中国残留孤児の方々の支援、居場所づくりの帰国者交流センターがあります。これは23区で大田区だけであり、松原区長が長年取り組まれてきた思いを形にした貴重な政策と私は受け止めております。中国において高い地位にあった方々も多く、日本では当初生活保護という立場でありましたが、「祖国への望郷の念は捨てがたいものだ」と帰国されました。この事業そのものは決して多い予算ではありませんが、戦争に翻弄された残留孤児の人権を尊重した大田区の政策は、各界の方々にも評価されており、こうした地道な取り組みがまさに自治体の仕事だと思います。

この度の2012年度予算は、松原区長が就任され6年目。本来であれば最も区長らしい政策を実現できる時期でありながら、投資的経費を前年比30億円も削減した予算を提案。その中で児童虐待対策の強化やものづくり人材育成など、次の世代を支え、育てる政策を私は評価いたします。財政が厳しいときこそ、人材育成に力を注ぐことが、困難を切り開き、それは職員の育成にも言えることだと考えます。

しかし、東日本大震災と福島原発事故による放射能汚染という国と自治体のあり方そのものが問われる時代に対応した予算であるべきでした。例えば子ども達への放射能の不安を払拭する対策などを盛り込むべきでした。

昨年5月の臨時議会で私は下水処理施設の放射能汚染を指摘させていただきましたが、36日からの測定で、23区内の水再生センターでは放射性セシウム137が7100ベクレルも検出される地域もあり、東京の汚染は岩手県などをしのぐ状況だと改めて教えられます。土壌中のセシウムが大気に舞い上がることもあり、子どもの安心が求められますが、私は市民の方々と放射線測定室を立ち上げ、食料や土壌の測定をしておりますが、それはストレスや不安への対策でもあります。ある民間の保育園では食材の測定で数値が低く、安心して給食を出せると安心しており、保育園や学校など子どもたちの安心を支える政策を実施すべきでした。

さて、この間増え続けてきた227億円の各種分担金や補助金についての検証、取り組みは今後大きな課題であり、事務事業外部評価では十分とは言えません。横並びの各種分担金の膨大な数と予算。また、基本構想、未来プランをはじめとする53の計画策定やそれと関わる付属機関のあり方や報酬、一人の委員が重複していることなど、もっと幅広い区民の参画、或いは様々な年齢層の活用など検討すべきだと考えます。

特に地方分権、地域主権と地方自治法の改正は、法定受託事務、基本計画でさえ条例で議会の議決事件として定めることができるようになり、議会にとって大変重い責任なのです。分権時代における住民に開かれた議会の権能強化へ熱いまなざしがむけられており、この点、我々区議会もようやく議会改革に取り組み始めましたが、議事録のない幹事長会での議論から、議会改革検討委員会の設置へと対策が求められます。

一方執行機関においては議会の権能強化は身を削られるような思いもあるでしょう。そのため首長の設置する付属機関への議員の出席を見直し政策立案するなど、分権時代を意識した立場を鮮明にする動きもでてきております。いずれにしても、互いに区民のためにより良い政策が提示するため、これまでの既成の事業を一から検証し、分権時代にふさわしい補助金・分担金のあり方を提示すべきです。

そのため、行政の縦割りから、横の連携を密にするべきと考えます。
この1月。私の地元では大手スーパーが改築のため閉店しました。東京一長い商店街に認定されている商店街ですが、人の流れが止まりました。315日、スーパーの目の前のお米屋さんが閉店。そして50年続いた本屋さんが3月末で閉店するのです。特に高齢者は遠方への買い物に困りはて、結局電車に乗り蒲田で買い物をしています。

かつて学習院大学の院長を務めた故・田島教授が、「英語で小売店は何というか」と、storeとshopという語の違いを語ってくれたそうです。Storeはよそから持ってきたものを置いておくだけのところ。Shopとは作業場のことだから、そこで製造や加工が行われているところ。だからチェーンストアであって,チェーンショップというのはありえないのだと指摘していたそうですが、日本の商店街は大型ストアではなくまさにこのショップの文化でした。豆腐屋さん、お惣菜屋さん、せんべい屋さんなどで買い物し、やがて自宅にたどり着く。人と人のつながりで営業していました。

しかし、あの消費税導入、そして5%引き上げにより廃業したお店も数多くありました。それは、町工場も同じです。技術を磨き、製品をつくる。その集積が大田区を日本一の中小企業の街に育ててきました。工場アパートによる集積も一面大切かもしれませんが、この14億7千万円余の補助金事業以上に、疲弊している地域の再生、買い物でさえ困難な商店街の実情などに視点をあてたまちづくり、暮らしの支援を大切にすべきです。

政府は、この厳しい時期に10%の消費税導入と豪語しているのです。「税と社会保障の一体改革」が、国の財源は増やさず国民に負担を多く求め、法人税率は引き下げる。このままでは日本の良き文化であったまち、コミュニティーを壊してしまいます。

 1974年、日本の所得税は19段階の定率負担により、所得の再分配がなされていました。しかし徐々にその段階を減らし、現在は6段階しかありません。その結果、高額所得層の減税が進められ所得税26兆円から13兆円に税収が減り、また、法人税は19兆円から10兆円に減ってしまいました。これを元に戻せば消費税引き上げなど必要ありません。1990年から2010年までこの不公平な税制のおかげで295兆円の減収。それが、国庫負担の削減など自治体、国民の生活に影響を及ぼしてきました。

 この度の国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者保険料は軒並み引き上げられ、それらを踏まえ私は予算に反対しました。国保ではご存じのように国庫補助を減らし続け、介護保険では、第1号被保険者、65歳以上の保険料負担を21%に引き上げました。そして後期高齢者医療では、高齢者の負担率を10.51%に引き上げたのです。介護保険料基準額をなんとしても5000円未満にしたいなど、それぞれの所管では努力をしていると思います。しかし、国保と介護保険合わせていくらの負担になるのかなど、トータルでは試算されていないため、個々の年金暮らしの高齢者や所得の少ない方の厳しさが理解できているでしょうか。結局、社会保障の一体改革ではないのです。それは障害者総合福祉法の制定をめざすとしながら自立支援法の改正でとどめた政府の姿勢を見ても明らかです。

 だからこそ、自治体は従来の縦の関係から、横の連携で地域を把握する再構築が問われています。例えば、各部には経営計画の担当係長が配置されています。それぞれの部の仕事を熟知しているこうした係長クラスの議論の場などを設け、そこから政策が構築される仕組みを作るなどぜひ検討すべきです。

 大田区介護保険426億4827万円4.3%増。国の改定率プラス1.2%は、介護職員処遇改善の加算に回され、特別養護老人ホームなど施設の基本報酬は全て引下げです。新たに創設の24時間対応型の定期巡回、随時対応サービスのためとして、このたび第1号被保険者の保険料負担を20%から21%へ増やしましたが、サービス内容を見れば、月に何度サービスを利用しても定額報酬です。これでは事業者から、利用回数の多い重度の方が敬遠され、訪問を最小限にされる可能性も考えられ、とても24時間対応の在宅介護の充実には程遠いのです。

 また、訪問介護時間も大幅に短縮され、報酬も17%から19%も減収になります。それでなくともヘルパーの報酬が十分と言えない現状で、第5期介護保険では事業所の淘汰、再編が既に懸念されています。それは、在宅の高齢者の生活に直結します。そのため地域包括支援センターにコーディネーター配置したことは評価するものの、要支援者が保険給付から外されるような国の仕組みを踏襲しないよう求めます。

 今年になって二人暮らしの家族の孤独死などが次々と表面化しています。社会や地域とのつながりが失われた先に孤独死があるとしたら、それに対処する最後の拠り所は自治体です。自治体本来の住民の福祉、幸せのため力を注ぐ政策を優先すべきです。

また公契約条例の制定について、私もかつて議会質問で取り上げてきましたが、入札のあり方、或いは区民の安定した雇用を支える意味からも区は前向きに取り組むべきです。

最後に、教育について述べます。4月から中学生の歴史や公民に敢えて育鵬社とされたことは大変残念な結果です。子どもは、学ぶ権利を保障されており、義務教育において客観的な事実を提示すれば、あとは子どもが自ら取捨選択できる教育環境を提示すればいいのです。学力重視で、外遊びも少なくなっていますが、むしろ自然とふれあい五感を育てる時代を経験させる視点に立った教育委員会であるべきです。先に質問いたしましたが、多摩川を活用した水辺の楽校を教育委員会だけではなく、まちづくり部や都市基盤など様々な部署と連携し取り組んで、子どもらしい時代を大切にしてほしいものです。

 2011311日を起点に、これまでの縦から横の連携へ、そして開発より住民の福祉を、子どもや高齢者など弱者が安心して暮らせるまちづくりを求めの反対討論といたします。

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議会最終日、議会改革の申し入れを行いました

2012.03.27

 3月27日、議会もいよいよ最終日に幹事長会で議論された議員提出議案が出されるとのこと。議会改革はこれまでの議会と執行機関の関係を変える重要な取り組みであるが、全議員による議論、そして、住民への情報公開などがその前提にあると私は考えてきた。
 しかし、大田区議会ではまだ議事録のない幹事長会で審議されており、せっかく担当課長が配置されても審議の家庭や内容さえホームページにも掲載されない。そこで、今日午前中に、議長に「議会改革の申し入れ」を行った。

                 議会改革についての申し入れ                 

大田区議会 高瀬三徳議長様 

 2011年度、大田区議会はようやく議会改革の取り組みに着手しました。高瀬議長がその重大さを認識し、立ち上げたことを評価しております。

 議会改革は、住民から信頼される議会をめざし、何よりも開かれた場での議論を積み上げる、そのプロセスが大切だと私は認識してきました。

 しかし、せっかく大田区議会で開始された議会改革は、議事録もない幹事長会の場であるため、住民への情報公開も、議員相互の議論もありません。そのため議会改革に関して広く区民へ周知できる大田区議会ホームページへの広報もでません。これでどうして議会改革といえるでしょうか。

 この度、「区としての基本的な方向性を定める宣言の制定及び改廃」「姉妹都市又は友好都市協定締結の決定及び解除」を議会の議決に付すべき事件として定める条例など議員提案されるとのことですが、これらは、議決機関としての権限を強化する重要な意味をもっており、これまでの執行機関と議決機関の関係を変えていくものですが、50名の議員が共通認識を持っているでしょうか。

 議員相互で議会改革の重要性を共有し、住民から選ばれた信頼に真摯にこたえるためにも、今後、議会改革を推進するにあたっては議会改革検討委員会等を設置するよう、高瀬議長に強く要望いたします。  

     2012年3月27日
         
                                  大田区議会緑の党

 その後、議会運営委員会が開催されたので、出席し、「委員外委員の質問!」を行う。すべての議員がこの重大な議会改革について共通認識を持ち条例提案するためにも、検討委員会の設置や、区民の傍聴などの権限が守られなければならないことを述べたが、残念ながらこの部分は休憩中での質疑!
 議長への申し入れ、そして議運での発言を終え、午後の本会議へ。
 議会改革の重さは討論の中で述べたが、これで3項目議決されたが、この重さがすごいことを本当に理解する議会でなければと思う。

 

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予算委員会で質問・・・大田区の緑・みどりについて

2012.03.23

予算委員会で、環境・緑の保全を質問しました。子ども時代、私は田舎の川や山、そして海で遊んだことが今も忘れられません。そんな気持ちで質問に取り上げましたので、思いをお伝えします。

大田区では、区内の緑化をめざし(グリーンプランおおた」を計画し、今後「「大田区みどりの条例」を策定する予定です。区内緑被率が20.4%ですが、20年後には21.5%を目指すなど、様々計画されています。

区内で緑が一番少ない地域は蒲田地域です。私はその玄関口にあたる大田区役所の緑を増やすことや駅からつながる通聾について質問。それというのも、昨年3月11日の震災により、正面のシラカシが倒れてしまい、そのまま1年が経過したのです。本来、白樫は東京の気候にあった樹木であり、常緑でいつも人々の目に優しいのですが、地下に自転車駐輪場があったため根が張る広さや深さが不足したようです。ここに低木でもいいし、あるいはもう少し花を植えるなど工夫をしてほしいと考えました。現在、プランターにはいつもNPO団体が花を育て、植えていますが、これももう少し大きなプランターにするなどしてほしいものです。

また、駅から役所への通路の隣にのビルから銀行が移転したので、この活用ができないものでしょうか。蒲田駅前という非常に恵まれた立地の区役所ですが、その前にあるわずかなスペースでも緑や花のある和やかな空間にしてほしいものです。

さて、保護樹木や保護樹林のため来年度予算には4971万円が計上されております。

保護樹木は現在930本ありますが、これを20年後には1100本にしたいと計画には目標を掲げていますが、樹木の剪定などに助成をしても土地を売却してしまえば伐採されてしまうケースが後をたちません。私の地元にも樹齢100年の保護樹木がありましたが、マンション開発による伐採に何ら手立てがないのです。こうした課題は今に始まったことではなく、以前相談を受けた田園調布や沼部の地域でも結局伐採されてしまいました。

すでに「みどりの条例」を制定している地域では、特別保護区とする、あるいは区長の権限を強化するなど様々な手立てがあります。大田区でも現在の条例では守ることのできない樹木などを保護し増やすため、新たな条例で盛り込む内容が十分検討されなければなりません。

横浜市では平成21年から「横浜みどり税」を実施しています。個人市民税と法人市民税に上乗せしているものです。市民は年間900円、月額75円。もちろん非課税の個人や法人は対象外です。これで徴収した年間24億円を、相続によって樹林を手放さざるを得ない土地などの確保にあてているそうですが、これも市議会で賛否が分かれました。地方分権により自治体で目的税を課すところが増えてきましたが、私たち大田区の計画では「基金」を活用できないか今後検討されていきます。

また、緑被率を増やす、あるいはみどりの保全には長い時間を要します。子どもから高齢者を含む多くの方々の環境に対する取り組みがまちを作ります。私は大田区にある多摩川を活用した「水辺の楽校」を充実させてほしいと願い質問しました。この多摩川流域16市区村の流域ネットワークによって、自然と親しむ経験を積むことは、子どもの育ちを支えるうえでも大きな意義を持っています。鵜の木地区を中心に準備会が進められてきましたが、今後は教育委員会だけではなく、まちづくり部や都市整備など多くの部署が連携して取り組んでいく様子。ゲームやパソコンで遊ぶ前に、子ども時代を自然と関わる時間が大切です。NPOや保護者、地域など多くの方々の見守りで都市型河川の王様多摩川の自然を知りたいものです。

川崎には下流部の川崎大師に干潟館があります。ここは市民がボランティアで運営している場所です。大田区にもやがてそうした場所を作り、いつでも子どもたちが訪れるようにしたいものです

 

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東糀谷六丁目工場アパート条例について

2012.03.20
 区内製造業、中小企業の厳しさが増しているこの時期に、シンガポールの不動産投資会社が取得した東糀谷六丁目工場アパートを大田区が借り、中小企業に貸し出すために新たに条例が提出されました。熟慮の末、第17号議案「大田区東糀谷六丁目工場アパート条例」に反対いたしました。その主な理由です。
 
 平成22年9月17日の議会で初めて民間工場アパートが質問で取り上げられ、10月1日には「ものづくり工場立地助成事業実施要綱」が改正されました。  
この要綱は大田区内で操業を希望する中小企業者が、新たに工場を新増設、或いは移転のために係る経費を助成することにより、ものづくり集積を強化することを目的に定められたものです。
 
 改正された主な内容は、工場アパートにも補助をおこなうという点です。要綱によれば、「複数の中小企業者が工場を集合させ工場アパートの整備を行う」とし、基盤施設整備という一項目を追加。工場の作業面積5000㎡以上で5社以上が入居する貸工場という一項も追加されました。そして、助成額をこれまでの限度額1000万円から一挙に5億円に引き上げ、その25%、4分の一を補助するとしました。
 この改正を踏まえ、平成23年度当初予算には、建設費20億円と見積もられた官民協力による工場アパート整備費として4分の一の5億円が債務負担行為として計上されました。
 
 しかし、この度の福島原発の事故により当初の持ち主であった東電不動産は売却を決めました。相手先がメープルツリー・インベストメンツ・プライベートリミッテドというシンガポールの不動産投資会社。その日本法人と10月28日に売買契約をかわし、その日本法人がこの工場アパートのために設立した「東糀谷集合型工場特定目的会社」というペーパーカンパニーに出資し、売買契約はこの特定目的会社と結ばれました。実質的な売買契約の代金の支払いは2012年3月15日とのこと。そして大田区はみずほ信託銀行と20年間の定期建物賃貸借契約を結び担保してもらうとのことでした。
 
 まず、補助金は、当初の東電不動産ではなく、実質シンガポールの外資が出資するこのペーパーカンパニーに出されるのです。従業員も殆どいない実質的な経営が行われるわけではない、製造業を支える町工場の発展を主としているのでもない、不動産投資のペーパーカンパニーに施設整備費として出すのです。
 
 工場アパートの建設費は当初20億円と見積もられていたのが、実際は16億円だったため、その25%4億円を、年間4000万円10年にわたって助成します。23年度予算で債務負担行為5億円とした額を1億円減額して、この度の第5次補正予算に組んでおりました。
 
 この工場アパートについて24年度予算には平成24年度から43年度までの20年間で、45億8166万7千円の債務負担行為が新たに提案されております。毎年1億9250万7千円を20年間、ただし路線価等の変動に伴う増減額を加算した額としておりますが、この額と補助金の4億円、しめて49億8166万7千円が、この東糀谷六丁目工場アパートの20年間の経費なのです。
 
 昨年10月19日の地域産業委員会資料によれば、テクノウイング・テクノフロントとの経費比較が示され、20年間、一括借り上げの経費として、テクノフロントなどとほぼ同額の18億円余が大田区の負担とし、むしろすごく低くなっていると理事者の説明がありました。しかし、大田区が土地所有し、建設した工場は30年後も40年後も大田区の施設ですが、この物件は20年間で49億円余もの額を払っても大田区の所有ではないのです。
 
 また、景気変動が激しく、未入居が増えれば、当初の試算である1年間で7000万円余、20年で14億円補助という大田区の前提がくずれ、大田区の持ち出しの増加をいつも考慮しなければならないのです。
 
 こうして、この工場アパートの契約においては、何社もの会社、しかも税金対策の会社も入る前提で工場アパートの賃貸を大田区は行うのです。経営責任は果たしてどこなのか、20年という事業の継続性は確実に担保されるのか、20年後はどうするのか、私にはそれらへの信頼が十分とは言えず賛成できませんでした。
 
 委員会にはこの間、事業者に提示された入居企業募集要綱は提示されておりませんでした。この22ページに及ぶ募集要項には、例えば一階101ユニットは621000円を、当初12年間は528000円とするなど具体的な使用料が記載されており、また、第4次においては既に23ユニットが済とされておりました。通常、議会の議決を経てから具体的な賃貸料、使用料が示されるものと思います。そのため募集要項には、「使用予定者として決定させていただきます」と書かれておりました。新たに行う事業ですから、事前に議会の議決を経て、その上で使用料などを提示し募集を行うべきと私は考えました。
 
 また、この募集期間の書類の受付は「野村ビルマネジメント株式会社」とし、担当者2名の氏名が記載されていました。受付場所と指定されていたテクノウイングを管理しているのが野村ビルマネジメントだったからだと思いますが、委員会の資料「関係機関相関図」に記載されていたプロパティマネジメント契約、つまりこの工場の管理会社は、まだ決定されていないのです。
 
 その上、「区内・区外企業の募集」とこれまで説明されておりましたが、要項では「国外企業も含む」とはっきりと記載されておりました。確かに産業空洞化は、大田区内産業にも計り知れない影響を与え、海外企業を呼び込む戦略が随所で語られておりますが、敢えてこの施設に誘致するとすれば、大田区内中小企業と受注関係等が確実に担保されるのか、そうした対策はとられるのか。それが、多額の税金を投入する基本ではないのでしょうか。
 
 先日、地域イノベーション・活性化を世界に発信し続けている法政大学院の国際シンポジウムが開催され私も参加しましたが、世界中が地域活性化を不可欠の課題としているなかで、地域に横のつながり、産業クラスターを形成する仕掛けには、やはり人と人のつながりが大事だと発信しておりました。
 
 かつて、2002年の知的財産基本法成立を受け大田区では、区内中小企業の知的財産保護の取り組みに着手し、トキワ精機株式会社の「まるみ君」で特許信託第一号を取得するなど、この仕事に財団法人で関わり知財信託のスキームを作り、そして大田ブランドの発信に関わってこられた管理職が「信託とは文字通り信頼して託する」と、特許庁技術懇話会の雑誌に書いていた内容に、私も感動して読みましたが、一つのスキームを作るまでには様々な関係者と協議し、議論を積み上げていくと思います。
 
 区内一巡すれば製品が生まれるとした区内中小企業もまた、互いに切磋琢磨し合い、互いの技術を信頼しあい高め合ってきたと思います。小さな工場が大多数を占める大田区で、油にまみれ次々と高い技術を世に送り出してきました。戦後を担った匠の技を継承させたい。その自負を持ち、地域のものづくりを発展させてきたと思います。
 
 大田区の施策を考える場合、やらいものづくりを支援したい。そのような企業や大学と地域の連携が困難な時代を切り開くのではないでしょうか。そんな気持ちを込めてこのたびの条例には反対しました。
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第一回定例議会がはじまりました

2012.03.06

2月23日から定例区議会がはじまりました。私も一般質問を行いました。今回は、大田区2012年度予算の15%を占める生活保護費などを取り上げました。

 
311日は、私たちに震災後の政治や経済のあり方、生き方を問い、特に区民の安心や福祉と直接的に関わる自治体に新たな方向性を示すきっかけとなりました。
 
それは議会も同様です。区議会始まって以来の議会改革への期待は、残念ながら議事録もない幹事長会で行われ、区民も傍聴すらできない。震災後選出された50名の議員が議論を交わし、堂々と松原区長に地方分権時代の議会を示すことが、議会改革ではないでしょうか。
 
私たちの足元では、平成23年の総雇用4918万人のうち、正規雇用は25万も減少し、3185万人、一方非正規雇用は48万人増加の1733万人と、その割合は過去最高の35.2%です。しかも、男性の非正規雇用が前年よりも31万人も増加し、完全失業者数も275万人にものぼるのです。この結果が、憲法で保障された最後のセイフティネット・生活保護へ具体的な数字となって全国いたる所に表れています。
 
しかし、少子高齢化に加え、稼働年齢層の失業がもたらす税収の落ち込みは、大田区でいえば基幹財源が5年間で241億円の減、一方、扶助費と特別会計への繰出金は300億円増加と、実に541億円という額です。そのため区民への様々な政策が見直されていき、一方で生活保護費が増加し、セイフティネットへ疑心暗鬼さえ生んでしまいます。
 
2,012年度一般会計予算、前年度比44億円マイナスの2,264 4,779 万円。本来、これほどまでに景気が低迷しているときは、緊縮財政ではなく財政出動によって景気悪化のスピードを遅くし、その間に対策が取られたものですが、稼働人口の減少は、そうした猶予を与えませんでした。財政基金から65 億円取り崩して編成された予算、24年度末320億円と見込まれた財政基金を、今後23年どう活かすか。
 
 区は、2012年度も職員人件費11億円減、121名の職員見直しを提示しました。自治体は常に国の定員管理に左右され、その上、国からの権限移譲で事務量は増え続けています。それは職員ひとり一人の事務量を増やしてきました。メンタルヘルスの相談も、平成19年度147人から22年度239人へと増え続けているのです。
 
松原区長は、この震災と原発事故後の社会や大田区の役割をどのように考え、2012年度予算を編成されたのでしょうか。
 
首都直下型地震が指摘されるなかの「総合防災力の強化」や大田区の基幹であるものづくり人材育成など産業振興は重要です。
 
しかし「国際都市おおた」を標榜するまちでは、一般会計で最も大きな歳出が生活保護費なのです。その額は34485434千円にも達し、平成19年度240億円からわずか4年で実に100億円の増加です。
 
昨年12月、国は「生活保護制度に関する国と地方の協議」の中間のとりまとめを発表しました。これまで国家公務員の中で最も新規採用率が低かった厚労省。それはハローワークの相談体制に大きな支障を与えており、国は福祉事務所とハローワーク等の関係機関との連携強化を示したのです。確かに、福祉行政と労働行政の連携による一体的な取り組みは大事です。しかし、もう一方で、このたび提示された求職者支援制度による職業訓練について、これを「合理的理由なく」受講しない場合、生活保護の停廃止を検討するなど、この点は見直しを求めなければなりません。これは、2012年度、失業手当が切れ、貯蓄が底をつき始める被災者の生活保護増加への布石と言われているからです。
 
生活保護給付と最低賃金、年金のバランスが崩れ、可処分所得で最も高いのが生活保護、そして最も低いのが老齢基礎年金と、公的年金や最低賃金が最低生活費を保証していなという状況を作り出しておりますが、政府の社会保障の充実に期待がもてない中、区がこの状態から立ち上がる手立てが求められルと考え、質問しました。
 
►この状態を少しでも改善するため、大田区はまず職員人事配置のあり方を見直すべきと考えますが、いかがか。
 
包括外部監査でも指摘されておりましたが、現在、大田区生活福祉課の19名の査察指導員のうち、ケースワーカーの経験のない職員は11名、しかもその他の社会福祉事務経験もない職員は13名、そしてケースワーカーもその他の社会福祉事務の経験も一度もないままいきなり査察指導員として8名も配置されていました。確かに様々な部署で経験を積んできた優秀な職員を査察指導員として配置はしているでしょうが、ケースワーカーの経験がないまま、ケースワーカーを指導し、仕事をこなす責任は大変重いものです。
 
ケースワーカー一人あたりの保護世帯数は93.4と、国の基準を大幅に超えています。また、職員は213名、非常勤職員47名、再任用、再雇用合わせて269名が配置されていますが、在職年数は2年に達しません。ケースワーカーには高度の専門性や職員としての経験、或いは本人の人生経験も加味された対応が求められております。
 
►近年は特に、精神障害など複雑化した様々なケースが増えております。効果的に対応するために、経験と知識を持つ専門家・マイスター制度をもっと充実させ、専門家を育て指導にあたるべきと考えますがいかがか。
 
区の政策を進める原動力は、職員であり、職員の育成と適材適所が、厳しい財政にあっては要と考えます。
 
►また、大田区では新規採用が少ないなか、20歳以上の新採用者をいきなりケースワーカーとして配置することが多いと感じます。昨年の新規採用者85名中18名、今年度92名中28名が新採でした。職員数が削減されているなか、どの職場でも様々困難はあると思いますが、福祉職の以外の事務職の新人職員は、諸先輩からサポートを受けやすい職場で経験を積み、その経験をもとにケースワーカーとして配置すべきと考えますが、いかがか。
 
特に生活保護制度は、「補足性の原理」で他法多施策の活用を要件としており、ありとあらゆる政策を熟知し活用させた上で、最終的な選択として保護へつなげるため、他の部署の経験がいかされると考えます。
 
さて、生活保護費の中で最も大きな割合を占めるものは、医療扶助です。昨年度では303億円の44%、実に132億円、90%の方が利用していました。近年その中でも歯科の伸び率が135%、56200万円と高く、これは、生活習慣の働きかけで改善することができる内容でもあります。
 
►被保護者の中には、生活習慣を改善すれば、働くことを多面的に捉えられるケースもあります。また、ケースワーカーが信頼関係を築きながら自立への転換をはかる努力をしていますが、就労支援につなげる具体的な自立プログラムが必要ですが、どのように捉えているでしょうか。
 
新たに2名就労支援の係長が配置されますが、個々の状態に応じた取り組みと成果につなげるに、十分でしょうか。
 
例えば、生活保護費には中国帰国者への支援給付がありますが、2世、3世の中には、日本語を習得しさえすれば就労に結びつく方もおります。近年、帰国者の高齢化で母国語が通じるヘルパーの養成などに取り組み始めた施設もあります。2世、3世が日本語を覚え、例えばヘルパー資格を取得させれば自立できます。そうした様々なプログラムや、ボランティアとして引き受けてくれる地域の団体の登録などに取り組み、地域で支援ができる体制づくりも求められます。
 
►続いて生活保護世帯の子どもへの連鎖を止めるための、子どもの学習支援について伺います。教育は、決して学力史上主義であってはいけないと考えますが、生きる基礎、生活を支える学びは重要です。教育員会や保健福祉部と連携し、子ども達の居場所づくりと学習支援を行う支援についてどのようにお考えでしょうか。
 
被保護者の子ども達には、教育費が十分といえないため、あきらめにも似た思いをいだくこともあります。この連鎖を止めるためには、やはり教育が必要です。2月、群馬県高崎市で個人の方が、教員のOBや大学生を募り、子ども達に無料学習塾を開催するそうです。子ども時代は、規則正しい生活習慣を身につけることが、その後を左右します。
 
ケースワーカー。査察指導員、医療関係者、保健師など、広域的な横の連携を求め生活保護の質問を終わります。  
 
続いて高齢者政策について伺います。
 
この度の大震災では、介護保険法による公的責任の後退が高齢者福祉に与えた影響が顕著に表れました。避難所では、おむつ交換が必要な高齢者がそのまま放置され、次々と命を落としていったといわれております。
 また、民間介護事業者は、災害救助法等の例外的措置による以外は、自力再建が原則のため、介護事業者をやめる、或いは休止するなどが相次ぎ、再開のめどが立たない事業者が大半だというのです。社会福祉における公的責任を改めて問い直した大震災でした。このまま推移すれば、介護保険料の引き上げに耐えられない高齢者が続出するともいわれております。
 
いつ起きるともわからない災害を前に、改めて高齢者福祉の再構築が課題です。
 
私は昨年第一回定例議会の質問で「医療や介護を受けなくとも元気で老後を過ごせる10年後を目標に、今何を優先課題として位置づけるか。高齢福祉の事業を一から見直し、優先順位を決定し、政策を予算化すること」を求めました。
 
今、高齢者政策の検討会が行われておりますが、私は、大田区独自の横のつながり、高齢者福祉の再構築を急ぐべきと考えますがいかがでしょうか。
 
先日訪れた小規模多機能の施設は、施設というよりも自宅に帰ったような気持ちにさせてくれました。誰でも必要なときに必要なだけ利用できる居場所。赤ちゃんから高齢者まで、放課後の学童も、障害があってもなくても、一緒にケアする活動方式は、行政の縦割りの壁を取り払った富山方式、富山県民間デイサービス育成事業と呼ばれて全国へ広がりだしました。
 
誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる喜び。そして、そこには、日本の社会が失いつつある原風景がそこにある。家族のように暮らす営みが、人間を生かしてくれるからです。
 
高齢者の見守りに着手する大田区ですが、震災の教訓は行政の縦割りではなく、横のつながりによる再構築の必要性を教えてくれました。縦割りから横のつながり、行政の柔軟さを求め、私の質問を終わります。

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