社会教育を区長部局へ条例改正…反対しました

2015.01.29

2014年第4回定例区議会に提出された
「第
74号議案 大田区教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例」

このタイトルでは、一体何を決めたのかよくわからないと思いますが、この度の条例は、大田区教育委員会の所管の事務のうち、「学校体育を除くスポーツに関すること、並びに、文化財保護を除く文化に関する事務」を区長が管理し、執行するものであり、教育行政の大きな転換なのです。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第24条においてこの2つの事務を首長が管理し、及び執行することとすることができるとして改正されましたが、必ず移管しなければならないということではありません。

そもそも社会教育は、戦前の歴史的反省の観点から、政治や一般行政からの自由を確保することが求められ、政治的中立性、教育行政の継続性、そして、住民参加という理念のもと育まれてきたものであり、単なる学習支援ではなく教育委員会で事務を推進すべきと考えます。 

大田区は条例の基本的な考えとして、「東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた施策の充実や、地域、学校、家庭が連携し、青少年健全育成の施策の充実を図る」と述べておりました。

例えば、青少年健全育成事業は、平成21年4月に教育委員会へ所管を移したばかりであり、それをわずか5年で区長部局へ移管するためには、事業遂行に齟齬をきたしているなどの明確な根拠が求められるのではないのでしょうか。青少年健全育成のための大田区行動計画において、20歳までの青少年の育成は学校教育と関わりが大きく、放課後の校庭開放や体育館の利用、学校支援地域本部など教育委員会で情報を共有して機能してきたから学校も協力を惜しまず、今後本当にうまく機能するのでしょうか。また、青少年委員やスポーツ推進委員など多くの区民委員は、教育的中立という立場を理解して委嘱を受け職務に励んでこられたのではないのでしょうか。

更に専門職の配置はどうなるのでしょうか。

社会教育法第9条2項により、社会教育主事は、教育委員会の事務局に必置規定されているのです。社会教育主事の仕事は今後ますます重要になると指摘されていますが、70万区民を有する大田区にはたった2名しかおらず、この20数年間、新たに採用しておりません。しかも社会教育主事は教育公務員法に規定された教育公務員であり、教育委員会に身分を残したまま、区長部局で仕事をさせるのでしょうか。

それは学芸員にも言えるのです。学芸員は博物館法で定められ「博物館に専門的職員として学芸員を置く」と位置付けられています。今般「郷土博物館及び大森海苔のふるさと館」の所管が変われば学芸員はどこに所属するのでしょうか。文化財保護を司る学芸員の仕事を国の法改正でも教育委員会に残した理由の一つに、地域の埋蔵文化財保護と首長による開発行為の許可との均衡性の観点から課題があるからと言われております。郷土博物館が区長部局に移管され、文化財保護は教育委員会の所管と、学芸員はどのような立場に置かれるのでしょうか。

しかも文化と文化財保護という分離の仕方で大田区全般の文化情報が双方の所管でしっかりと共有され、文化振興が進むのでしょうか。

既に実施したある自治体では、一般行政で学校の文化振興を活かしきれず、結局教育委員会に所管を再び移管したのです。

スポーツ振興においても、区民全ての健康を支えることが社会教育の主眼であり、今般、文化事務、生涯学習、青少年育成事業、郷土博物館など大幅な組織改正が進められます。

この度の条例に加え、更に4月1日施行の地教行法の改正により、教育行政における首長の権限がいっそう強化されるとともに、国による監督権も強化されるのです。首長が教育大綱の策定権限を持つだけではなく、大綱の制定にあたっては、国の教育基本方針を参酌するなど、教育への行政の関与が一層強まるのです。社会教育法第12条において、「国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によっても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない」と規定されているように、一般行政の首長と一定の距離を持ち、首長の政治公約と一線を画した上で、様々な思想信条を持つ全ての住民に対し、公平に生涯を通して学ぶ権利を保障するために、この度の条例改正に反対しました。

 

残念ながら反対したのは私を含め2名でした。区内で活躍する多くの方々も、社会教育課が計画してきた様々な事業の中で学び、現在に至っております。地味な仕事ではありますが、区民すべての学びを支える生涯教育の大切さは言うまでもないことです。
私は社会教育を恩師・小川剛教授に学びました。学生時代に地域へ出かけ学びあったことを思い出します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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