学校私費会計と給食費

2018.11.27

今年3月、平成29年度大田区包括外部監査結果が提出されました。「小学校・中学校等に関する事務執行」が特定テーマです。

監査項目の一つに学校長が管理する私費会計「学校徴収金」がありました。私費会計の総額は大田区立小学校で17億1068万円、中学校で10億7287万円にも上り、監査で「大田区ではその全体の金額を直接把握していない」と指摘がありました。
憲法第26条は「義務教育はこれを無償とする」と規定していますが、教育目標達成のために徴収する経費は受益者負担という名目で保護者が負担し、学校長の私費会計として処理されてきました。教材など教科活動費の一人あたり負担額や、中学校修学旅行費も学校間で大きく異なっていました。修学旅行の時期や宿泊先などで契約金額の違いは理解できるものの、一人あたり34046円の中学校から、最も高い72019円と、その差額37973円と区立学校間でこれほど大きな開きがあるのです。

また徴収金の一つである学校給食費は、一食あたり小学校低学年235円から中学生320円で子どもの成長に即した給食を提供していますが、一食当たり0.1円から10.8円までの残金を保護者へ返金するなど非常に細やかな仕事や、食物アレルギーのある児童・生徒一人ひとりの状況に対応したメニューの作成など、事故をおこさないよう栄養士の方々の努力も並々ならぬものがあります。

それに加え教員による給食費未納者への滞納徴収など、監査では「苦戦している傾向が伺える」と記載されていました。「世界で最も多忙な教員」と言われる日本の教員は、授業を通した子どもの成長だけではなく様々な事務処理、更に部活と長時間勤務にあり、改善が急務です。

そんな学校現場に対し2016年6月、文科省は各都道府県教育委員会教育長等に「学校現場における業務の適正化に向けて」の通知で、「学校現場を取り巻く環境が複雑化・多様化し、学校に求められる役割が拡大する中、教員の長時間勤務の改善が課題」とし、長時間労働の見直しや、部活動における負担を大胆に軽減するなど、教員が子どもと向き合う教育環境の整備に向けた取り組みを求めました。
その中に給食費、教材費の取り扱いもあり「教員の負担軽減等の観点から、学校徴収金会計業務を、学校の教員ではなく、学校を設置する地方自治体が自らの業務として行うための環境整備の推進」が示され、全国で徐々に取り組みが拡大しています。

そもそも学校給食は戦後の貧困対策として1954年学校給食法として法制化されましたが、会計制度や徴収方法まで規定せず、多くの自治体が要綱等で規定してきました。しかし総務省は「要綱等で学校徴収金の保管を規定することは、地方自治法を勝手に拡大解釈することであり、認められない」と文科省と意見を異にしてきました。

そして今、経済発展したと言われる日本で再び子どもの貧困という事態が進行し、学校給食のあり方はその分岐点です。各学校で私費会計として処理され自治体にその全体像が見えにくい給食費は、日本全国で約4400億円徴収されており、その約3000億円が私費会計として処理されてきました。2016年度の大田区の給食費総額も19億964万9675円と学校徴収金総額27億円余の7割を占めていました。

そこで、以下の点を質問しました。
♦学校給食費の公会計化により自治体の特別会計など歳入歳出により大田区、そして議会にも全体像が見える形に改善してほしい。

学校業務適正化の視点から、教員が学習指導要領に則り、授業改善に取り組み子どもと向き合う時間を確保できる環境を整備することは、教員の力量を高め子どもの学びを支え、それは大田区の地域づくりの要にもなっていくと考えます。国会では給食無償化の全国調査の取り組みが始まっています。

さて、大田区は阪神大震災の直後、全国に先駆け小中学校の耐震化に取り組み、国基準より厳しいis値0,75以上の補強をしてきました。しかしその分、学校改築の時期が集中しています。今年度12校の改築が同時進行し、6月後半から入新井、赤松、東調布小学校及び複合施設の説明会が始まります。学校は地域を代表する公共施設として職員、自らが全体説明会だけではなく、中高層建築物の紛争の予防と調整に関する条例に基づき隣接住民の方々を訪問してご説明するなど、教育委員会施設担当職員は、一般事務職として積み上げてきた仕事とは趣を異にする業務にも対応しなければなりません。

それに加え学校改築を先延ばしにしてきたために老朽化による修繕もあります。教育施設担当が担う50万から130万円までの修繕は平成28年度100件、29年度140件と増えています。2015年度施設担当には建築・機械・電機など専門職含め14名の職員がおりましたが、2016年度は事務職のみの8名でした。大田区全体の仕事量を踏まえた職員配置や減員があることは理解しておりますが、2016年度5月この部署の超過勤務時間は一人あたり約70時間と、業務量に見合う職員配置だったとはいえません。
♦今後一年で16校同時改築というピークも迎えるとき、子どもの学び育つ安全安心な学校、地域に開放された防災の拠点や複合施設として多岐にわたる機能を備えた学校施設整備にあたり、今から担当職員を育て充足していくことを求めました。

企画経営部や総務部では各部局の業務量に見合う管理職や係長の配置、職員の配置を適正に行う努力をしていることとは思いますが、東京都からの事務移管と人口増、そして財政規模の増大に職員定数4135人の見直しの時期にしています。
しかも大田区が児童相談所を運営するためには、医師や弁護士に加え、児童福祉司18名、児童心理司9名、さらに実務経験が10年程度のスーパーバイザーの児童福祉司、心理司おおむね5人に1人を確保しなければなりません。
更に児相設置市事務として都から大田区に14にも及ぶ膨大な事務が移管されます。児童福祉法によれば、新たに区が担う事務は、国の通知等による児童相談所の事務、児童福祉審議会の設置など高度な専門性が必要な事務、児童委員に関する事務、児童福祉施設に関する事務があり、施設として乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センターなど全ての施設が新たに対象になります。また障害児施設給付費の支給等に関する事務や小児慢性特定疾病医療費の支給等に関する事務、結核などの児童に対する指定療育機関の指定などに関する事務、さらに質問で取り上げてきた認可外保育施設の事務を担う職員が必要なのです。

大田区はこの間2548人の職員定数を縮減し、職員定数計画は2021年度まで4135名を目安としていますが、歳出に占める人件費率は16.9%と過去最低です。各部局の仕事が滞りなく進められるためには、職員の努力や残業に負うだけではなく大田区の適正な職員定数と適正配置が求められ、スマートワーク宣言につながる早急な対策を求めました。

自分が暮らすまちへの親しみや愛着は、自治体職員の仕事とも相関していると私は思います。職員が区民を支える仕事に元気に取り組んでくれることが、公共の福祉を担う自治体の基盤であり、子どもの学びや育ちをしっかりと支える自治体が高齢化社会を生き抜く。職員はその基盤です。

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