大田区で人件費率21.5%の保育所という実態!子どもの最善の利益を求め・・・「保育所の安全運営と質の向上を!」

2018.11.27

待機児解消のため保育所増設に大田区も取り組んでいますが、一方で保育士の処遇、質の確保など課題があります。大田区では区立保育所を民間委託してきましたが、その検証が行われていません。更に、認可外保育施設の改善は急務です。その課題について決算委員会で質問しました。

●保育所の実地検査のため職員の増員を!
都道府県は認可保育所の安全運営のため実地検査を義務づけられているが、2015年子ども・子育て支援法により、各市区町村も認可保育所の指導検査を実施できるようになりました。
2016年度、大田区は認可保育所88施設のうち17施設で実地検査。2017年度は、認可保育所103施設のうち31施設を検査しましたが、全園で実施するためには今の職員体制では限界があり、職員の増員を求めました。

●子どもの命を守るために
2016年3月に大田区認可外保育施設でおきた死亡事故を受け、今年3月東京都は重大事故の再発防止のため33ページに及ぶ「事後的検証委員会報告書」を公表しました。
私は2016年2月26日の一般質問でこの認可外保育所を取り上げました。都の指導監査の指摘事項が何年も改善されず、このままでは子どもの安全は守られないと考え、せめて抜き打ち検査の実施などできないか質問した。答弁では「立入調査に区の職員も同行し、その実態把握に努めている。」とのこと。再質問したが同様の答弁内容でした。
翌月、3月16日、この施設で深夜に生後六ヶ月の子どもが死亡しました。保育士資格のない園長が夜間一人でゼロ歳2名、2歳1名、3歳2名の5名を保育し、ゼロ歳児の呼吸チェックは、夜間30分から60分程度とのことでした。

東京都はこの施設に2002年度から継続して立入調査を行い、改善指導に従わないため、前通告をしない立入調査も実施したそうです。「常時複数の保育従事職員が配置されていない」「乳幼児突然死症候群の予防への配慮が行われていない。」など多数の指摘事項が改善されないままでした。

都内には2016年3月で959施設、今年度9月886も認可外保育施設がありますが、立入調査は、指導が改善されないなど課題がある施設を対象とすることが多い。
報告書では再発防止のため12項目の提言が示され、都に対する提言は勿論だが、区市町村と連携して改善、更には勧告等必要な措置が講じられるよう指導監督の強化に努めることが求められたのです。

大田区はこの施設に在園していた園児を転園させ、施設では昨年3月末時点で廃止届を東京都に提出しましたが、この夏、再び事業開始を東京都が受理していました。
9月時点で、大田区内には18の認可外保育施設があります。検証報告書では、この認可外を利用していた理由として「認可保育所に入所できず昼間利用していた方」 「夜間の業務の方、ひとり親、貧困家庭、要支援家庭など福祉的支援を必要とする利用者も多い」と指摘され、子育て世帯の置かれた様々な状況に対応するため設置された施設が多々あることがわかります。一方で都の指導監査項目を改善しないまま保育をしている施設もまだありました。

提言で、「国は、区市町村による認可外保育施設に対する質の確保への関与や巡回指導の取り組みを支援すること」と具体的に求めていたが、検証報告の指摘は勿論のこと、二度と同様の事態にならないよう大田区として認可外保育施設に対する対応等を質問しました。
答弁では、「都と連携を強化し、認可外施設の利用実態や、認可保育園が利用できないご家庭の状況の把握に努め、再発防止に向け役割を果たしていく。」とのこと。

●人件費率が21.5%と低い保育所も!
保育所運営では、実地検査による安全の確保と同時に、保育の質が問われます。保育士の離職率が高いため、安心して長く働き続けられる環境整備に向け東京都は保育士等キャリアアップ補助金を創設しました。この補助金で画期的なことは、受給要件に保育従事者の人件費比率を明らかにした「賃金改善実績報告書の提出」を義務付け、施設運営の透明性の確保を求めたことです。
この財務情報等について大田区包括外部監査が大変重要な指摘をしていました。区内のある園では、給付費と委託費収入1億3400万円。そのうち事業活動資金収支差額が7700万円、積立試算支出が7000万円と、委託費収入の半分以上の7000万円も積み立てられている実態があったのです。「保育所に給付される委託費は、認可保育園の運営に使用されるべき収入であるのに、多額の積立資産に支出していること自体、不自然極まりない」と指摘していました。
事業活動収入における社会福祉法人、株式会社それぞれの保育職員人件費に充てた人件費比率の平均を質問しました。
答弁では、「社会福祉法人の人件費率は66%。株式会社は35.5%。」と、その差に驚きました。
国は様々な処遇改善を含め人件費比率を70%と想定していると言われているが、2016年度約1500カ所の保育所の人件費比率は、社会福祉法人約69.2%、株式会社49.2%だったので、「大田区で人件費比率が最も低い保育所は何パーセントか。」質問したところ、
「株式会社が運営する保育園で、21.5%」と、あまりの低い実態が明らかになりました。このような状況で保育士が働き、子どもたちを守るために懸命だったのです。

●保育士の処遇改善を確実に実施するために!
委託費は、公定価格に基づき乳幼児の年齢などを積算して決定されます。しかし国の法改正「保育所運営費の弾力運用の規制緩和」は、税金が保育の質よりも多額の積立に回っている現状を生み出してしまったのです。

大田区は、保育士の処遇改善に税金を投入してきました。しかし人件費率という数字からからも保育の課題が検証できます。様々調査をしたところ、世田谷区は保育士の給与を確保し、保育の質を確保するために「世田谷区保育所等運営費助成金交付要綱」を定め、一般保育所対策事業加算として「開設2年目以降の園については、助成を受けようとする前年度の経常収入に対する人件費率が50%以上であること」と規定し実施しているとのこと。
そこで「大田区もこのような改善策について検討すべきだ。」と質問しました。答弁では、「他区の制度も参考にしつつ、補助金の目的が適正に果たされるよう、保育士の個人別昇給状況を報告させることで、処遇改善効果を確認していく。」とのこと。国が人件費率を約7割と見込んでも実態は各企業によって大きく異なりますが、法律を改正するとか、自治体独自で対策を講じるなどしなければ、保育士の処遇は改善されていきません。

●今こそ保育所民営化の検証を!
2000年の法改正後、保育所運営費の弾力運用、株式会社の参入、園庭がない認可保育園の建設など規制緩和が進められました。また、株式会社では近年変形労働時間制を導入する保育所も多く。様々なローテーションのシフトに追われています。じっくりと子どもと向き合い、保育の質を高める余裕がないという声も聞こえてきます。経験年数が短い職員の園長登用など苦労している実態もお聞きしました。

大田区は区立保育園の民営化を進めてきたが、この間その検証は一度も行っていません。23区の区立保育園民営化の調査によれば、大田区が足立区についで最も多くの区立園を民営化し、更に株式会社の参入は大田区が一番多かったのです。また、民営化を検証した自治体では、民営化の課題や良くなった点などをしっかりと分析していました。
そこで「大田区は民営化の検証をして欲しい。検証委員会を立ち上げ議論すべきだ。」と質問しましたが、「適切な検証方法については研究していく。」という答弁。

子どもの育ち、乳幼児期の育ちは非常に大事であり、一人の人間として成長していくときの基礎を育てています。子どもの最善の利益という視点から、保育する人が安心して働くことができる環境を維持することが、子どもの育ちをも支えていくことを忘れてはならないと痛感する日々です。

保育所の安全運営と保育の質の向上を求めていきます。

 

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