地域医療を支える京都大原記念病院グループをたずねて NO1

2009.09.10

 高齢化社会を迎えた日本では、 介護・医療が大きな課題です。そうした問題をずっと以前から予測し、対策に取り組んでこられた病院があることを知り、訪ねてみました。

 それは京都大原記念病院グループです。人口2500人の京都市大原は風致地区。この地に病院を開設した当初から、28年を経過した今日でも人口は同じくらいだそうです。その歳月を、高齢者が地域で安心して生活できるるように細やかな対策をしてきたのです。

 当日、大変多忙であるにもかかわらず、児玉代表は私たちのために時間を割いて、日本の抱える課題を歴史も踏まえて説明してくれました。

 児玉代表は、日本の医療政策が「財源の抑制と療養病床の再編」されることを予測していたそうです。そこで、当初設立した大原記念病院に加え、老人保健施設・グループホーム・特別養護老人ホーム・ケアハウス・在宅型老人ホーム・在宅診療など、高齢者をとりまくほぼ全ての対策が有機的に機能する施設整備を進めてきました。

 その中心にあるのが、高齢者に対する児玉代表の考え方だと感じました。

 もともと外科医であったという児玉代表ですが、高齢者医療について、単に医療、介護、福祉というくくりではなく、生活全般を見守るという視点から地域医療という大きな視点で切り開いてきたと思いました。勿論、この地域外からもたくさんの方々が利用しています。

「この同一敷地内で保健・医療・福祉“三位一体”の機能をドッキングさせた複合施設は日本でも初めての試みでありました。」とホームページにも書いてある児玉代表が、理念を生かした場所、大原の里には、穏やかな自然の風が吹き渡り、故郷を思わせるほっとする場所でした。

 さて、下の写真は、在宅老人ホームの利用者の部屋です。驚いたことに酸素設備が備わっていました。様々な老人ホームを私も見てきましたが、こうした設備は初めてです。さっそく質問をしたところ、「全国でも初めての試み」とのこと。この老人ホームでは、病気になったときにもわざわざ転院しなくても安心して医療を受けられるのです。結局、「終の棲家」として安心して暮らしていけるホームなのです。

酸素と吸引

 これまで私は、大原という地名は「三千院」の名前でしかしりませんでしたが、のどかな自然がたっぷりと残されたこの地で、約100名のリハビリ専門スタッフを抱え、病後の回復を支える取り組みを行っている病院があることには、本当に驚かされました。麻痺が残るからだの機能を回復させる手立てがこれほどまでに備わっていることは、やがて自力で動けるからだ、回復力、喜びをを引き出してくれるからです。

 しかも、リハビリ中心の医療に、ここまで力を入れている病院は全国でも稀なことです。 

 佐藤幹夫著「ルポ 高齢者医療」には、京都大原記念病院グループも紹介されていますが、その中で児玉代表が述べていた言葉を引用します。

「高齢者のリハビリから終末期まで、安心できる療養ケアを提供する。安心と満足の提供。それが自分たちの法人のミッションです」と。

外科医として多くの「死」と向き合ってきたなかでたどり着いた地域医療。やがて誰もが老いの時を向かえる。安心して老いたいと誰もが心から思う、そこに寄り添う医療・介護を政府、自治体がどう築いていくか。そのために私自身がどう自治体に働きかけていくか。それが次の課題だと、しみじみ思いました。

 児玉代表を囲んで

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