科学者・技術者・市民 それぞれの立場から 「原子力を終焉に向かわせるために」

2011.06.27

 「終焉に向かう原子力」第12回講演会が開催され、浜岡の現地報告、そして、科学者、技術者の講演など、本当にいい講演会でした。私たちが地震国・日本の原子力発電の廃炉に向けて真剣に取り組み、早期に答えを出さなければ悲劇は繰り返されてしまう。改めて思った一日でした。

 今回、原発の問題を指摘してこられた原子炉設計者の田中三彦さんの講演が聞くことができました。

 田中さんは、「国も東電も目を向けようとしない原発中枢構造の耐震脆弱性」をテーマに話しをされました。そして原発の安全認識が欠けているとして、3点を指摘していました。

① 地震の揺れで原発の中枢構造が壊れたり、機能喪失した可能性が大きい。

② 津波対策だけでは不十分。全国の原発を即時停止して、原発と耐震安全性という問題を徹底的に見直す必要がある。

③ 国と東電がIAEAに報告した第1原発事故のシュミレーション解析は、①と②を隠すための悪しきシュミレーション解析

 特に説明のなかで印象に残ったことは、原子炉格納容器の圧力の上昇問題です。これを証明しない限り、「東電が何故メルトダウンを認めたか解析されない」と説明してくれました。地震発生後、格納容器の圧力が設計圧力を超えて7気圧と異常に上昇した理由について、いまだ東電は説明していないのです。

 田中さんは、3月23日頃、東電の発表した数値をもとに、「津波ではなく、地震によって配管に破断が生ずるなどの理由で冷却材喪失事故が起きていたのではないか」と分析されておりましたが、政府も東電もこの度IAEAに「メルトダウン」が早い時期に起きていたと報告した理由を、地震による冷却材喪失事故とは認めていません。

それならば、格納容器内の圧力が何故7気圧に上昇したか、東電は説明しなければならないと田中さんは話していました。東電は「津波により電源喪失して急激にメルトダウンした」とあくまでもそこに固執しています。田中さんは、事故後の東電の公表した数値を細かく分析され、図式化し、その上で東電発表ではメルトダウンに時間のずれがあると話していました。田中さんの緻密な分析に、科学者や技術者は事実に謙虚でなければならないのだと、改めて感じました。

 田中さんが指摘されていた「地震によって配管などが破断し、冷却材喪失事故が起きていた」のであれば、地震国・日本の全ての原発の安全性と再稼働が問われ、政府も電力会社も脱原発を歩まなければなりません。

絶対そうしたくないための政府・東電のシュミレーション解析だとしたら、「津波対策さえしっかりやっていれば原発は再稼働できる」という世論が作られてしまいます。

 私たちは、今こそ事実に目を向け、フクシマの事故が日本国民に突き付けた悲しみを二度と繰り返さないため、一人ひとりが声をあげていくしか道はないのだと思う。それが核のゴミ捨て場のように使用済み燃料を持ち込まれた故郷・青森に暮らす人々との連帯でもある。

「浜岡原発を考える会」の伊藤さんが、浜岡原発の軟弱な地盤の石を持ってきて話していました。「浜岡から東京へ来る間に石がこんなに砕けてしまうんです。これのどこが安全といえますか?私たちは浜岡でがんばります。あなた達も東京で輪を広げてくださいね」と。

 放射能に汚染された大地や空や海の影響は、これからが本当に深刻です。放射線衛生学者・木村真三さんの語ったチェルノブイリ原発の事故後、今も続く放射能汚染の影響は、まさにそのことを私たちに示唆していたように思われてならない。木村さんは、今日も福島の人々の声にこたえ、現地で放射能の測定を続けているのです。

 それぞれ生活の場から、地域から、ひとり一人が声をあげていけば原子力の終焉を迎える日がくると思う。いや、来させなくては!

 

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