「終焉に向かう原子力」第14回 講演会より 

2012.05.01

4月28日、「終焉に向かう原子力」実行委員会が開催する講演会に参加しました。

まず2003年アカデミー賞ドキュメンタリー部門オスカー賞を受賞した「チェルノブイリ・ハート」が上映されました。チェルノブイリ原発の爆発以降、放射能汚染が子どもたちにどれほどの影響を与えているか身に染みました。それは、甲状腺だけではなく、心臓や肺、或いは四肢などの疾患と様々な形で出現し、特に子どもの罹患率が過去のデータをはるかに上回ることでも理解できます。放射能汚染が人間の遺伝子そのものを破壊し、成長の速い乳幼児期や子どもの体に及ぼす影響をしっかりと受け止め、今後の日本国内の内部被ばく対策などに備えなければと考えさせられました。

続いて現地報告として、浜岡原発を考える会の伊藤実さん、そして大間原発の建設を押しとどめてきた「あさこはうす」の小笠原厚子さんの報告がありました。当事者として地域を守る活動を展開している方々は、現地の実態をつぶさに見て訴訟に取り組んできました。その思いを私たちも共有し、自分の生活している足元からつながっていくことが大事です。

今回、「あさこはうす」の小笠原さんは「世界でただ一人原子炉の位置を動かした」故・熊谷あさ子さんの娘です。大間原発の地権者としてただ一人土地を売らなかったあさ子さん。「金をいくら積まれても土地は売らない。大間の海は宝の海だから守り抜く。」と生涯をかけたのです。その母の思いを受け継ぎ運動を続けてきた小笠原さんは、「女だから、命を生み育てる女だからこの土地を売らずに原発に反対してきたと思う」と母・熊谷あさ子さんの気持ちを噛みしめるように語っていました。

あさこはうすで命がけで暮らしてきたあさ子さんの傍らにいたのは、黒い犬のチョロです。あさ子さんにボディガードのように寄り添い暮らしたそうですが、あさ子さんが亡くなった後を追うように同じ年に死んだそうです。絵本「風の中を今日も行く」の中にも出てくるチョロですが、小笠原さんは「母とチョロはまるで同志のように生きていた。」とそっと話してくれました。

広大な大間原発の敷地の中に建つあさこはうす。その灯を決して絶やすまいと小笠原さんは生きています。

後半はジャーナリストの広瀬隆さんが、鋭く原発の問題を指摘しました。

まず、2012年夏の電力について大変詳細なデータを示して、不足にならないと説明しました。今、大飯原発再稼働に向けて毎日のように再稼働しなければ電力が足りなくなると報道されていますが、水力や火力、自然エネルギー、そして各企業の電力などをトータルで積算しなければ本質は見えてこないと、具体的なデータを示して、夏場の電力不足はありえないと語っていました。

また、福島原発の爆発により世界初の人工放射性元素である「テクネチウム」が検出されていたことなども話されました。クリプトンやキセノン、ヨウ素・セシウムなど比較的沸点の低い物質からストロンチウム・コバルト・プロとニウム・ウラン・ネプツニウム・とリプトン・そしてテクネチウムと沸点が高いものと、どれが検出されたかによってプルトニウムを使っていた福島3号機の爆破内容がわかると説明していました。

こうしたデータを私たちも理解し、そして、ひとたび暴走を始めれば人間の英知をはるかに超える原子力発電所の恐ろしさを認識すべきです。その上、福島4号機は、地震などが再び来て土台が壊れることの怖さだけではなく、もし燃料プールそのものにひびが生じるなどして水位が下がり冷却ができなくなれば、プールの温度があがり、燃料棒の鞘であるジルコニウム合金が発火するかもしれないと、米国原子力技術者のガンダーセン氏が指摘していたことを紹介していました。もし核燃料が大気中で燃えれば、未だかつて経験したことのない状況になるというのです。

今後、私たちは、特に子どもや若者、妊婦さんなどの内部被ばくを防ぐため、国内で生産できる食料をどのように確保するかを真剣に考え、取り組むとともに、がれき処理においては、福島原発の影響が比較的少なかった地域や西日本・九州・北海道などへも処分を広げることは得策とはいえません。

福島原発事故の起こるずっと前から講演会を開催し原発の問題を指摘してきた「終焉に向かう原子力」実行委員会に参加させていただき、改めて、一人ひとりができることを力いっぱい続ける意義を感じました。それは、落合恵子さんの言葉「私はチェルノブイリの原発事故の直後は問題を問い続けてきたが、そのあと取り組んでなかった。ぶれていた。しかし、これからはぶれずに活動していく」と率直に語った言葉からもわかるように、まさに一人ひとりの意識の問題です。

広瀬さんが「終焉に突入した原子力です」と語っていたように、まず5月5日、子どもの日に私たちはすべての原発停止を子どもたちの未来へしっかりと渡していきたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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